ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

『イスラエルとは何か』から再度ラプキン氏の主張に耳を傾ける

 「こうなったのは、イスラエルの人々が、彼らをエジプトの地から連れ上り、エジプトの王パロの支配下から解放した彼らの神、【主】に対して罪を犯し…」(列王第二17:7)。
 
 ヤコブ・M・ラプキン氏の事は2月16日のブログで触れましたが、上記の本はまだ読みかけで、専ら新聞記事を頼りに書きました。
 今回この本を読んでから、改めてラプキン氏の手堅い資料集めと主張に目が開かれました。

 まずシオニズムですが、その源流は何と16世紀宗教改革の頃のキリスト教にあるそうです。聖書が急速に庶民に行き渡る中、プロテスタントの諸宗派の中から、ユダヤ教徒を聖地シオンに集合させる事で、キリスト=メシヤ再臨の条件が整うと考えたわけです。ちなみにこのキリスト教シオニストが、現在米国に5千万人もいて、イスラエルシオニズムを支援しています。
 それがユダヤシオニストたちに受け継がれて行きますが、その中核となったのが帝政ロシアのもとで迫害を受けていた少数のユダヤ人です。勿論彼らはユダヤ教信仰を捨てていた為、ロシアのみならず離散の身として西欧各国やパレスチナに居た、純粋な律法への信仰を守るユダヤ教ラビ=学者たちの激しい非難を受けました。敬虔なユダヤ人の同一性はこの旧約聖書と、現代へブル語ではなく、東欧を主体に全世界に広がったイディッシュ語を守る事によって保たれていました。彼らは留まっている国でその政治に順応し、他の宗教家たちとも共存していました。一方パレスチナに渡り、1948年イスラエル建国を宣言し首相となったベン=グリオンは、レーニンを信奉する社会主義者で、その独裁的手法を採択していました。
 ラブキン氏はシオニストたちの基本的綱領を四つに纏めています。原文のままではなく、私が少し言い換えています。
1.トーラー(=律法)を中心として民族の垣根を越えるものとしてあったユダヤ・同一性を、他の諸国の例に倣い、民族的同一性に変容させる事。
2.聖書ヘブライ語(ラビたちが朗読している)を基礎とし、全く新しい通用語乃至はイスラエル国家語を発展させる事。
3.ユダヤ人をそれぞれの出生国からパレスチナへ移動させる事。
4.パレスチナの地に対する政治・経済上の支配権(=植民地的支配権)を確立する事。
 ムッソリーニを絶賛していたシオニストであるジャボティンスキーは、勝利は力によってのみ手にされる事を訴え、戦争へ、反逆へ自己犠牲へと、移民してきたユダヤ人たちを煽りました。ユダヤ・テロ組織の担い手が、首相経験者であるメナヘム・ベギンアリエル・シャロン、ビンヤミン・ネタニヤフらとあっては、私も納得してしまいます。彼らは神の摂理にではなく、武器の力に信を置きました。その彼らがイディッシュ語を棄却し、現代ヘブライ語を創出しました。それは非宗教化した言語でした。私は古代ヘブライ語の延長線上に、そこに出て来ない単語を追加したものが現代ヘブライ語だと誤解していました。それを繰っているのが現代イスラエルの大半を占めると言われるアシュケナージユダヤ人(=東欧などに住んでいた白人のユダヤ人)で、米国の支持団体もそうであると言われています。
 このシオニストたちの植民地主義で追われたパレスチナ人たちが抱く敵愾心は、シオニストたちの攻撃性にある、というラブキン氏らの主張は説得性があります。かくてパレスチナにいるユダヤ教シオニストたちも迫害を受ける事になります。でも彼らは慎ましく、慈悲深く、善を行ない、戦争を抑止し平和を守る立場を貫いています。その為シオニストたちと彼らとの違いは決定的で、今後イスラエルは緊張を孕んだまま進み、瓦解する可能性も秘めています。否私の見解では、不敬虔となったシオニストたちは、自らの思惑に反し、国の3分の2が周辺諸国に殺害されてから、メシヤの再臨となるのかもしれません。それが神の摂理かも知れません。