ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

清潔すぎると病気になりやすい

 「しかし、口から出るものは、心から出て来ます。それは人を汚します。悪い考え、殺人、姦淫、不品行、盗み、偽証、ののしりは心から出て来るからです。これらは、人を汚すものです。しかし、洗わない手で食べることは人を汚しません。」(マタイ15:18−20)

 2013年3月26日のワシントンポストサイトでは、上記の題でジョージタウン大学医療センターやジョンスホプキンス大学の研究者たちの研究内容を紹介していました。
 この類の研究は、日本では東京医科歯科大学名誉教授の藤田紘一郎氏が先駆的な研究を行っていて、常々「寄生虫や微生物がいない清潔過ぎる社会は、逆に不健康である」という事を主張していました。
 ワシントンポストの書き出しもほぼ同じで、ほんの少し汚れているほうが、より健康であると付け足しています。
 これは衛生仮説としてよく知られています。1989年、イギリスのデイビッド・P・ストラチャン博士が、英国の子どもたち17,414人から得たデータを基に分析しました。すると兄弟・姉妹たちと共に過ごして来た子どもたち(当然細菌が余計増えています)は、アレルギーや皮膚炎が少ないという事が分かりました。
 そして現在研究者たちが知っている事と言えば、免疫系には細菌が必要であり、それが身を守るすべを獲得出来るかは、それとの早い出会いに依存しているという点です。
 ジョージタウン大学の免疫学者・医者であるマイケル・ザツロフ氏は、「私たちが悪者だと考えているバクテリアなどの菌類の多くは、周囲の環境のあらゆる場に生息し、私たちと共に共存して来ました」と言っています。人生の初期にこうした微生物に曝されていると、免疫系は何が有害で何がそうでないかを学習し、残りの人生での免疫応答を容易にします。身体は敵か味方かを知らなければならないし、もし特殊な微生物や抗原となる物質が敵である事を学習すれば、身体は免疫細胞を送ってそれを破壊する事が出来ます。その抗原が味方であると分かれば放っておく事が出来ます。
 ですからもし幼い段階で適切な微生物に曝されていないと、悪い事が生じる可能性が出て来ます。免疫系は非常に敏感に反応するようになり、花粉やふけといった脅威のないものでも、害を秘めたものとして過剰に反応してしまうのです。それが或る遺伝形質と結び付けば、喘息やアレルギーをもたらします。
 ジョンズ・ホプキンス大学の免疫遺伝学者キャサリーン・バーンズ氏はそうした事に詳しいですが、50年にわたる研究で、遺伝子はぜんそくに重要な役割を果たしているけれども、衛生状態も関与していて、遺伝子と環境の相互作用でぜんそくになる人が急激に増えていると言っています。ただその立証はかなり困難なようです。
 2012年にアーミッシュ(=キリスト教の一つの派)とスイスの子どもたちを、農家に住んでいるかいないかに区別して調査したところ、農家に住んでいる子どもたちは喘息、花粉症、皮膚炎にかかる割合がかなり低い事が分かりました。彼らは家畜やそれの持っている微生物と触れる機会が多く、微生物の含まれている生乳を飲み、兄弟・姉妹が多いという特徴がありました。しかし研究者たちはどの要素がそうした病の防御となっているかは、特定出来ませんでした。
 現代の衛生管理は諸々のいのちを救い、病気の拡大を阻止しているので、誰もそれを全く放棄せよとは勧めていません。
 しかしザツロフ氏は節度を保つ事は大切だと言っています。あえて恐ろしい細菌に身をさらすのではなく、もっと微生物に富んだ環境に住む事が良いと主張しています。抗菌石鹸、抗菌テイッシュを使う必要はなく、漂白剤で全てを清潔にする必要もなく、毎日衣服を洗濯する事でもありません。汚れるという事はそんなに悪くはないのです。