ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

屠畜場(排水)の為のパピルス

 パピルスは沼地でなくても育つだろうか。葦は水がなくても伸びるだろうか」(ヨブ8:11)
 2013年4月3日のサイエンスデイリサイトでは(http://www.sciencedaily.com/releases/2013/04/130403092700.htm)、上記の題でマケレレ大学(ウガンダ)の研究成果を紹介していました。

 パピルスはエジプトの湿地などに生えるカヤツリグサ科の代表的な多年生植物で、古代エジプトでは紙として盛んに利用されました。左図はエジプト新王朝時代のパピルス紙に書かれたもの。新約聖書では写本の為の紙として重宝され、残存するものは極めて貴重です。またそれを束ねて舟や筏も作られました。有名な聖書の人物モーセパピルス製のかごに乗せられ、ナイル川の岸辺の葦の茂みに浮かんでいたところ、エジプト王の娘の目に留まった為、九死に一生を得ました。他にも食用、観賞用としても使用されますが、今度のマケレレ大学の研究は、新発見と言えます。即ち屠畜場排水からの毒素や有害な残留物を吸収するのに利用出来るようになった事です。成長しているパピルスの根から吸収されるので、安全で濾過された水が得られるのです。これまで屠畜場排水はヴィクトリア湖に流れ込み、主要な汚染源の一つとなっていましたから、これは朗報です。

 研究者たちは隔離水界(メソコスム)(=海洋や湖沼における生態系を解明するために、水域の一部をシートで仕切ったもの)を用いて、大型水生植物が屠畜場からの排水を浄化出来るかどうか観察して来ました。左図は沿岸化学物質メソコスム実験施設で、独立行政法人 港湾空港技術研究所サイトからお借りしました。
 用いたのはシベラスパピルスと呼ばれるものと、ガマの一種、ヨシの一種で、対照群として、そうしたものを植えていない隔離水界を使いました。
 この汚染水ですが、COD(=化学的酸素要求量=水の汚染度を調べる一つの汚濁指標)の値が1リットル当たり7.15グラムもありました。1日70万リットルの汚染水が未処理のまま屠畜場から排水され、ヴィクトリア湖に流れ込んでいました。ちなみにCODについては、例えば霞ヶ浦で言うと、1リットル当たり水道用水源として3ミリグラム以下、フナ等について5ミリグラム以下、農業用水として6ミリグラム以下となっています。
 研究結果は対照群では水質に何の効果も得られませんでしたが、シベラスパピルスだけが、排水に存在した窒素イオンと燐イオン、及び有機物質の残留物を除去する事が出来ました。即ちパピルスは乾燥重量で燐キログラムあたり4グラム、1平方フィートを覆っているだけのパピルス生息地域で、その巨大な網の目の根からの吸収では、1平方メートルあたり31キログラムまでその重量を増やしました。それは、表面積では200平方フィートを優に超え、十分なものだそうです。
 この有望な結果で、屠畜場の排水を処理する為に費用が掛からず、生態学上でも健全な方法が見つかった事になります。
 翻って原発汚染水漏出問題ですが、動物による汚染水漏れとはわけが違います。東電は死にもの狂いでこの難題に取り組んでいるのでしょうか??