ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

常識を無視する時

 「この世と調子を合わせてはいけません…」(ローマ12:2)
 2013年4月1日のハフポストサイトでは、上記の題でアンドリュー・ワイル博士が書いていました。
 これまでも幾つか博士の主張に触れた事がありますが、健康医学研究の第一人者であり、現在アリゾナ大学で教鞭をとっています。

 人間はほとんどいつも健康について良い決断をし、数千年の時代を生き延びて来ましたが、それは大抵「常識」に基づいたものでした。
 でも常識は時には人を迷わせるものとなります。
 そこでワイル博士は3つの事柄を挙げて、常識に基づき広く信じられているけれど、科学的には一部、或いは全てが間違っている点を指摘しています。
1強い骨を作るには、カルシウムを余分に摂取する事
 骨の健康維持の為にはカルシウムをサプリとして摂るとか、カルシウムを豊富に含んだ食べ物を摂取するのが大切という「常識的な意見」があります。それは一見理に適っているようで、広く普及しています。確かに骨はカルシウムを摂る事でその強度を保っています。ですからその維持にはカルシウム錠剤を呑むとか、毎日牛乳を飲むのが良いという事になるのでしょう。
 しかしここに問題があります。実際には骨は無機物の複合体から成り(コラーゲンと呼ばれる結合組織)、カルシウムはその一部に過ぎません。しかし人々、特に男性は必要以上のカルシウムを摂っており、それはむしろ老年の時期になってから、大腿骨骨折を起こす割合が高いのです。ですから博士はサプリとしてのカルシウムは、或る特定の女性に適切な量を摂る事だけを推奨しています。
 実際骨の健康の為に欠けているのは、十分なビタミンDの摂取です。それはカルシウムの吸収と利用を制御しており、また体重負荷にも関与しています。
 ですから博士の同僚はうまい事を言っています。「骨折を防止するには、牛乳を飲まず、乳牛を散歩に連れ出しなさい」と。
2飽和脂肪が動脈を詰まらせる。
 飽和脂肪を悪者扱いするようになってから、もうかれこれ40年近くなります。いまだにバター、ラード、ココナツオイルなどをたくさん摂ると、心臓発作が差し迫って来る、という考え方が根強くあります。油脂が排水管を詰まらせるのと同様、飽和脂肪が動脈を詰まらせるという事を想像するのは容易です。それは常識的な考え方です。
 しかし人間の代謝は管よりも遥かに複雑です。脂肪はリポ蛋白の内部にあって、血液の流れの中で運搬されます(*血液中の脂肪=コレステロール中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸は、水には溶けず、血液中では、アポ蛋白という蛋白質と結びつき、溶けた状態になって存在しています。アポたんぱくと脂肪とが結合しているこの成分をリポ蛋白といい、球状の構造をしている=コトバンクより)。それは排水管内の分化されていない油脂とは全く似ていません。或る種のリポ蛋白は、動脈壁のコレステロールを除去します。「詰まらせる」という筋書きは、あやふやな研究に基づいており、既に論破されています。飽和脂肪を気ままに推奨する事はありませんが、糖、小麦粉、酸化した種子油などの方が、炎症効果を作り出し、心臓病のリスクを高める役割をしているのは、ほぼ確かです。
3(皮膚)癌を避ける為には日光を避ける事。
 紫外線が皮膚を焼くので、その繰り返しが皮膚の損傷をもたらし、癌発生になると考えるのは常識です。
 でもその対照的な面としては、上記1にも登場したビタミンDの慢性的欠乏です。それは幾つかのタイプのがん、1型糖尿病、多発性硬化症統合失調症、高血圧の危険性を高めます。家の中に閉じこもり、日焼け防止薬無しに外に出ようとしないと、癌を含む深刻な病を予防するどころか、逆にそれを生じさせてしまうでしょう。そこで博士は毎日50ミリグラム(2,000IU)を摂るべきだと言っています。それはしらす干しや紅鮭など魚類に多く含まれています。
 大切なのは人間の身体が複雑であり、繊細なものであるので、常識による単純化のし過ぎは、健康に良くないという事です。