ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

人間のプリオン病治療の可能性

 「牛や羊で、足が伸びすぎているか、またはなえ縮んだものは、進んでささげるささげ物とすることはできるが、誓願のささげ物としては受け入れられない」(レビ22:23)。
 2013年4月3日のサイエンスデイリサイトに、上記の題で論文が紹介されていました。米国科学アカデミー紀要に発表したのは、米国フロリダ州にあるスクリプス研究所の研究者たちです。紀要の要約はhttp://www.pnas.org/content/early/2013/03/29/1303510110.abstract?sid=1dff6e3d-8511-48af-934a-c43bc7cead3a参照。

 TPPで米国産牛肉の輸入が増える事になりますが、既に厚生労働省は、生後20カ月以下の牛(出荷される牛全体の1割)に限っている現在の規制を、30カ月以下(同9割)に緩和することを正式に決定しました。牛の月齢がそれ以下なら輸入を認めるという事で、既にそうした牛肉が輸入されているはずです。それはかつての狂牛病、現在BSE=牛海綿状脳症と呼ばれる病気にかかっている牛が入り込む危険性が増加した事になります。実際米国では2012年4月にカリフォルニア州で、10歳7カ月のホルスタイン乳牛からBSEが見つかっています(米国農務省ホームページ=http://www.aphis.usda.gov/newsroom/2012/08/bse_update.shtml参照)。
 このBSEの人間に相当するものがプリオン病で、異常な折り畳み構造のタンパク質プリオンによってもたらされる病気です。その中で最も良く知られているのがクロイツフェルト・ヤコブ病です。それは不治の病で、致命的な神経変性疾患です。認知症、人格変化、幻覚、協調性の問題などが生じます。その点アルツハイマー病と良く似ています。
 それでこのプリオン病については、いろいろ治療法の研究がされており、今回の米国科学アカデミー紀要サイトを見ても、これまで結構研究がされていました。今回はそれらを踏まえて、具体的な治療薬に言及がされています。
 研究者たちはプリオン・タンパクの発現を減らす化合物を調べる高度な化学分析装置(PrPーFETHA)を駆使し、人間使用で既に認可されている2つの薬を発見しました。
 それは免疫抑制剤の一種タクロリムスと、全身用抗ヒスタミン薬アステミゾールです。前者は非転写の仕組みで、細胞の全プリオン・タンパクの測定値を下げるもの、後者は自食作用(=細胞がその細胞質内に存在する蛋白やその他の物質を破壊する作用)を促すものです。マウスの実験ではアステミゾールのほうが生存期間を延長させています。これは血液―脳の障壁を越える事が出来、有望だと思われます。
 既存の薬にある程度延命効果を示すものが見つかったのは、朗報だとは思いますが、別にそれはプリオン病の根治という事ではなく、その正体は依然として不明のままです。米国産牛肉は避けたほうが賢明でしょう。