ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ジャンク(=がらくた)DNAの復活?

 「イエスは彼らの思いを知ってこう言われた。『どんな国でも、内輪もめして争えば荒れすたれ、どんな町でも家でも、内輪もめして争えば立ち行きません』」(マタイ12:25)。

 2013年3月20日の創造研究所のサイトでは、創造科学の生命科学部門の副所長であるナタニエル・ジーンソン博士と、科学ライターのブライアン・トーマス氏が共同で小論文を書いていました。その題名は上記の通りです。左図はhttp://www003.upp.so-net.ne.jp/kabuki_j/ksn/no29.htmからお借りしました。
 2003年米国の国立ヒトゲノム研究所がENCODE(=DNA要素百科事典=エンコード)解析プロジェクトというものを立ち上げ、世界5か国(スペイン、アメリカ、イギリス、日本、シンガポール)から32の研究機関が参加し、研究者442名がコンピューターを駆使してヒトゲノムの全機能要素の解析を目指し、5年を費やしてその仕事を終了しました。それまではヒトゲノム(=ヒト染色体上の遺伝子が持つ全遺伝情報)の1パーセントの領域が解析対象で、その98パーセントが「ジャンク(=がらくた)DNA」と呼ばれていましたが、今回のプロジェクトではその全領域を対象として解析され、そのうち実に80パーセントの領域に機能があることが解明されました。2パーセントほどの遺伝子が私たちの体の細胞を制御しているという想定は間違いでした。そしてその論文が2012年のネイチャー誌電子版に発表されました(http://www.nature.com/nature/journal/v489/n7414/full/nature11247.html)。
 これは一大プロジェクトで、これだけの研究機関と研究者たちによる汗の結晶は、まず文句のつけようがないものと思われました。同時にそのゲノムに無駄がない(残り20パーセントにも機能がある事が解明されるのは時間の問題か)事は、全知全能の神による創造を確信させるものとなりました。ちなみにこの研究者たちは全員が進化論を信じ、創造論の科学者たちは一人も参加していません。 しかるに上記創造研究所のサイトでは、3月26日号の「ゲノム生物学と進化」誌に、米国ヒューストン大学とジョンスホプキンス大学の研究者たちが、この成果に対する反論を書いた事を報じています。特にヒューストンのダン・グラウア教授が激しく反駁しています(オックスフォードジャーナルサイト=http://gbe.oxfordjournals.org/content/early/2013/02/20/gbe.evt028.shortにPDFファイルが無料で閲覧出来る事が記されています)。私はこのファイルを一瞥しましたが、素人なので細かいところは良く分かりませんでした。そこで上記創造研究所の2人による解説、及びグラウア教授らの反論に対する反論を書いた英国ガーディアン誌のロビン・マッキ−氏の論文を参考にしました。
 長くなるので要約しますと、エンコード解析プロジェクトチームに対するグラウア教授らの反論は、この30億塩基対と言われるヒトゲノムにおいて、その相当数がジャンクである筈なのに、80パーセントも生物化学的な機能があるというのでは、一体「進化」はどうなってしまったのだというわけです。その要約の中にこうあります。「エンコード事業の狙いは、ヒトゲノムにおけるほぼ全てのヌクレオチド(塩基糖リン酸の結合したもの)に機能があり、そうした機能は淘汰なしにいつまでも維持出来るという事を読者に確信させる事である。エンコードはこうした狙いを、主として「機能」という言葉をもてあそぶ事で、またゲノム分析をその進化的な背景と切り離す事で、さらに1世紀に及ぶ集団遺伝学説を無視する事により…達成している」と。
 創造研究所サイトでは、グラウア教授らは「人のゲノムは突然変異で不活性となった、タンパク質をコード化する、またRNAを指定する遺伝子の死んだコピーで一杯である」と言っています。この遺伝子のコピーは最初がらくたになったものと想定され、偽遺伝子と呼ばれていました。知恵蔵による定義は「通常の遺伝子に類似した塩基配列をもちながら、mRNAに転写されず、情報が発現されることのない遺伝子。ジャンク(がらくた)遺伝子とも呼ばれる。重複遺伝子に突然変異が蓄積したり、mRNAが逆転写酵素によってDNAになり染色体DNAに組み込まれることによって生じると考えられている」とあります。
 創造研究所は、「グラウア教授らはエンコードがジャンクDNAの存在に異議を唱えているので、エンコードを拒絶しているのです。それは生物進化にとって根本的な概念だからです」と言っています。進化はそのジャンクを消した筈がないので、エンコードの研究者たちはその発見が出来なかったに違いない、と彼らは主張しています。「エンコードの馬鹿げた考えは、進化の生物学について何も知らない者たちのしわざだ」とも。
 しかしこの極端な人々の主張には、同じ進化論を信奉しながらも、エンコードの結果に進化論の偏見を入れない学者たちの反論が一杯あります。このエンコードの5年計画に携わったエヴァン・バーニー博士は、「この攻撃は実際には多くの金を費やした大きな科学、大きなプロジェクトに対する不平不満であると思う」と述べています。
 冒頭の聖書にある内輪もめのように見えますが、私たちの創造主はジャンクなしのゲノムを造り得たし、実際造られたであろうと、創造研究所の2人は主張しています。科学サイトではほぼ毎日と言ってよいほど、このジャンクと言われた遺伝子に重要な機能がある事を発見したという記事で満ち満ちています。