ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

1990年代に既に中国からの空気汚染を指摘していた永淵修教授

 「イエスご自身が、『預言者は自分の故郷では尊ばれない』と証言しておられたからである」(ヨハネ4:44)。
 2013年4月24日のニューヨーク・タイムズサイトでは、マーティン・ファクラー東京支局長が「中国からの(空気)汚染は日本の島(屋久島)の木々を枯らせている」といった題で、記事を寄稿していました。下左図は枯れて倒れた翁杉、ネットから借用。

 既に過去ログで触れましたが(http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20130415/1366023062)、日本の大手報道機関は、独自の取材を重ねて大切な問題を抉り出す事なく、横並びでつまらない記事ばかり書いている、とファクラー支局長は指摘していました。
 この人の主張に惹かれて、次はどんな報道をするだろうかと心待ちにしていたところ、上記の記事に出合ったわけです。それも確かに大手報道機関の怠慢さを露呈させる事になりました。
 ファクラー氏は、不思議な疫病がこの島の原生林に生じて、枯れた木々の残骸を残していると述べた上で、その犯人はスモッグを吐き出している中国から飛んで来た大気汚染物質のせいであると明言した、滋賀県立大学の永淵修教授の事を紹介していました。

 長淵教授は滋賀県立大学のサイトを見ますと、環境科学部環境生態学科の教授である事が分かります。大気汚染物質の長距離輸送の問題などを主体に研究しています。
 最近話題となっているPM2・5(=大気中に浮遊している2・5μm<1μmは1㎜の千分の1>以下の小さな粒子)に関して、ファクラー氏は永淵教授が1990年(当時福岡県衛生公害センター勤務)には、既に中国大陸からその微粒子が飛んで来ていたという説を出していたのに、何十年にもわたり同僚の科学者たちから無視され、この日本南西部にある島を管理している環境省の官僚たちからは嘲りさえ受けていたと書いています。
 しかし中国自身がこのPM2・5について騒ぎ出し、日本の他の地域でもそれが飛んで来ている事が分かったので、日本当局はここに来てやっと永淵教授の警告を深刻に受け止め、対策に乗り出したわけです。日本の大手マスコミは一体何をしていたのでしょうか?
 特に屋久島は日本の工業中心地から遠く離れている為、中国の増大している環境問題と密接な関わりがある事が分かって来ました。
 それで島の住民たちはその汚染物質が自分たちの健康を害するのではないかと心配し始めました。町長の荒木耕治氏は、「我々は炭鉱の中のカナリアのようだ」と感じ始めています。
 屋久島杉(特に縄文杉)は世界遺産にも指定されている見事なものですが、今のところ大きな被害はなく、むしろ松の立ち枯れが目立つそうです。それは1992年から96年にかけて特にひどかったそうです。
 永淵氏はその1992年に屋久島の黒味岳などに登り、降雪を分析してそこにシリコンやアルミ、そしてその他の石炭燃料で生成された諸物質が含まれている事に驚愕し、それが中国の暖房の為に使用されている点に鑑みて、汚染物質は中国から東シナ海を通り運ばれたものと断定しました。そして九州の役人から転じて大学教授となり、学生たちと共に本格的な調査を始めました。それにより風が北京や天津から吹いている時が最悪である事を突き止めています。
 永淵説は200年初頭には一部で認められたものの、松の枯れ死はなお害虫やシカによるものと思われていたのです。今でも林野庁の役人などは永淵節を否定しているようです。
 3月は特にひどい状況で、地元の役人が永淵教授の施設を利用させてもらい、PM2・5を測定したところ、国の安全基準をかなり越えていました。永淵教授と共同で研究している人の話では、今後ますます汚染がひどくなるとの事でした。
 こうした対策の遅延や怠惰、なにやら原発対応時と良く似ているではありませんか?