ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

サンオノフレ原子力発電所閉鎖

 「誠実な証人は人のいのちを救い出す。欺く者はまやかしを吹聴する」(箴言14:25)。
 2013年6月8日のワシントンポストサイトでは、上記の題の記事が載っていました。
 これは軽視出来ない問題で、ワシントンポストサイトやニューヨークタイムズサイト、ロサンゼルスタイムズを始め、日本の東京、毎日、朝日新聞など大手マスコミも一斉に報じました。

 サンオノフレ原子力発電所は米カリフォルニア州南東部およそ100キロのところにあり、電力会社のサザン・カリフォルニア・エジソンが運営しています。その2号機、3号機は1983年夏と、1984年春に操業を開始しました。そして約30年が経過したので、2009年に2号機、2010年に3号機の蒸気発生装置を新しく導入しました。それは日本の三菱重工が設計・製作しました。ちなみにここの原子炉は加圧水型です。

 ところが2010年1月31日、3号機の蒸気発生器の配管が破損し、微量の放射性物質を含む水が漏れ出た可能性がある為、緊急停止を余儀なくされました。1日あたり82ガロン(1ガロンはおよそ4リットル)漏れたのが見つかった後の閉鎖でした。そしてその時定期点検で稼働していなかった2号機の配管も調べたところ、およそ1万5千か所もの異常な摩耗が見つかりました。右図は一般的な加圧水型原発の模式図です。エジソン社と三菱重工は、必死になって新開発の蒸気発生器配管の検査を進め、少なくも1基の再稼働をしたいと米原子力規制委員会(NRC)に申請しました。
 これを受けて米原子力規制委員会(NRC)は、1年以上にわたり独自の調査を続け、また地元稼働反対住民らを招いて公聴会を開催して来ました。同時にNRCは蒸気発生器を作っている神戸の三菱重工を訪れ、詳しく調査したところ、再設計した配管の安全検査の手順に不備が発見されたそうです。そのあたりを取材し、報告をしたのがジャーナリストの堀潤氏で( http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36079)、その時のNCRと三菱とのやり取りが文書化されています(http://pbadupws.nrc.gov/docs/ML1233/ML12333A144.pdf)。35ページに及ぶ詳しい報告です。

 NRCが特に調べたのは、再設計された蒸気発生器に挿入する触れ止め金具でした。その厚さ、挿入角度、櫛状に挿入する事でした。そしてその基準から三菱重工製の総合的品質保証に対して、承認を与えませんでした。さらに詳しい理由として、配管の直径、及びU型配管部の曲げ半径の正しさを証明出来なかった事、そして配管全体の長さが守られていなかった事、東京測器研究所による業務上の較正サービスで記されたものを実行しなかった事などが挙げられています(*読み間違いがあるかも)。右の画像は美浜原発蒸気発生器の触れ止め金具で、図の真ん中左にその構造が見られます。
 ざっと読んだ限りでも、三菱重工のずさんさが読み取れます。それは東京大田区などの小工場の、「微細加工」「超精密加工」といった技術とは比較になりません。美浜原発2号機でも、この触れ止め金具の不完全な挿入によるミスで事故が生じました。
 偏見のかかった即断は避けますが、安倍首相が日本の原発は安全対策が強化されており、世界一の技術(?)があって輸出に問題なしと胸を張っているのは、まやかしの吹聴です。しかもエジソン社の三菱重工に対する損害賠償は100億円を超えると見られ、さらに廃炉費用が上乗せされます。その「国益」の損失は、今後輸出契約を結び、稼働される予定の国々で当然起こりうるミスから、計り知れないものになるでしょう。米国のみならず世界中の非難を浴びる事でしょう。
 結論は明らかです。原発の設計製作は安全面で大田区の技術などとは比較にならない精密さが要求されるのに、それを満たしていません。どこでも事故を起こし得るゆえに、即全ての原発を廃止し、廃炉作業へ向かわせ、原発輸出を止めなければなりません。