ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ジョセフ・スティグリッツ、アベノミクス、新自由主義

 「あなたがたは、地上でぜいたくに暮らし、快楽にふけり、殺される日にあたって自分の心を太らせました。あなたがたは、正しい人を罪に定めて、殺しました。彼はあなたがたに抵抗しません」(ヤコブ5:5〜6)。

 ジョセフ・スティグリッツ氏と言えば『世界を不幸にしたグローバリズム』を書いてベストセラーにした経済学者で、コロンビア大学の教授をしています。2001年にノーベル経済学賞も獲得し、行動派の経済学者として知られています。私は『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』という本を読んで、「グローバル化」の持つ弊害をかなり知る事が出来ました。
 ネットや新聞で氏の論文を見かけると、必ず読みました。平易な語り口で人を納得させてくれます。
 ところが2013年3月22日のウオールストリートジャーナル(だったと思います)で、アベノミクスに対して「いいぞ!」といった題で記事があった事から衝撃を受け、なんだこの人は日本の低所得層の事を少しも分かっていないのかと思い、失望感と共に氏の記事を読むのを止めていました。
 しかし6月15日の朝日新聞に、来日した教授へのインタビュー記事が載っていて、読んでみたら少し違うので多少考えを変えました。でもアベノミクス支持は一貫しているので、距離は置いています。
 その点ではむしろニューヨークタイムズの常連である、プリンストン大学ポール・クルーグマン教授の方が、新自由主義を掲げる共和党政策にずっと挑み続けていたので、好感を持っていたのですが、その主張とは裏腹に氏もまた「アベノミクス」を支持し、日本の貧困層の事にはあまり触れていません。同じように失望しました。
 それはとにかく、スティグリッツ教授は手放しでアベノミクスを礼賛しているわけではない事が、朝日記事から分かりました。その語録から。
1否定的発言。
アベノミクス…は日本経済を立ち直らせる正しい取り組みだと思います」。
アベノミクスが成功すればやがて人々の実質所得が増えていくでしょう。経済成長率が高まれば、増税にも対処できるようになり、暮らしはよくなるはずです」。
2肯定的発言。
「所得上位1%の人は下位の人に比べ、収入を消費に回す比率が低いので、所得再分配をしたほうが経済を刺激できます。再分配は経済を刺激し、成長させるための有効な手段の一つなのです」。
「消費税は、貧しい人びとの負担がきついという逆進性を持つ悪税です。しかもデフレを悪化させます」
「低所得の人びとへの再分配につながる支出をすれば、消費やGDPを一層増やす効果があります。企業減税で刺激をというのでは、効果を期待できません」。
 これらの箇所を読んでいて、教授の日本経済分析は少し甘いと思いました。到底教授の提案のように政府は動かず、教授自身が強調する「貧しい人びと」対策への具体的提案が欠けており、「画餅」に過ぎないのではないかと思いました。
 最近出た服部茂幸著『新自由主義の帰結』を読みますと、新自由主義体制のスローガンは以下の通りです。
 「成長とは九九%の国民の賃金・所得が停滞することである」。
 「パイの増加とは一%の富裕層にパイを集中させることである」
 「供給サイドの改善とは、家計に返済できないカネを貸して、支出させることである」
 現実はこの通りに進んでおり、「アベノミクス」は、まさにそれらを加速させるでしょう。そして新自由主義とは服部氏の言葉で表すと「犯罪」であり、いつか処罰されるでしょう。サッチャーレーガン、小泉、そして安倍と、その栄光は必ずや消え去るはずです。