ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

建築家坂口恭平氏の挑戦

 「また、群衆を見て、羊飼いのない羊のように弱り果てて倒れている彼らをかわいそうに思われた」(マタイ9:36)。
 2013年8月5日のハフポスト・ジャパンサイトに、建築冒険家・作家という肩書の坂口恭平氏が登場し、インタビューした記者が内容を纏めていました。

 坂口氏は1978年生まれ、早稲田大学で建築を専攻しました。在学中に路上生活者との出合いがあって、卒業後極めてユニークな移動可能な掘立小屋などを設計し、その思想を数冊の本に纏めています。私はまだ読んだ事がないので、図書館で借りて読む事にしました。画像ははてなの「ノボ村長の開拓日誌」から借用。独特な設計と施工、モバイル生活のアイデア集など、氏を紹介する楽しい記事が一杯です(http://d.hatena.ne.jp/kawasimanobuo/20130304/p1)。
 ハフポスト・ジャパンの記事は長いですが、興味尽きない内容になっています(http://www.huffingtonpost.jp/2013/08/05/kyoheisakaguchi_n_3693879.html?utm_hp_ref=japan)。
 坂口氏は3・11以後出身地の熊本で、生存権の死守を掲げて100人もの避難者を受け入れ、世論指導者として注目されるようになりました。
 彼はとにかく卒論でも取り上げた路上生活者たちから多くを学んでいます。「彼らは土地を所有せず、既存の環境をうまく利用して暮らしている。道端に落ちているダンボール箱を保温性に富んだ機能的な寝具に転用し、拾ったバッテリーを使って冷蔵庫や洗濯機を動かす」。都市のゴミは都市の幸となっていました。
 彼らは国有地である河川敷に住まいを構えていますが、この違反行為も憲法第25条に記されている「生存権」を優先すれば、そこでの生活が可能になります。彼らはそういう事を見分ける目を持っています。
 そうした経験を踏まえ「お金がなくても生きられる生活圏を日本各地に作る」という「ゼロ円特区」構想を実現させようとしています。

 坂口氏は過激な活動家ではありません。「既存の社会を変えるのではなく、社会を見る視点を変えて生き延びろ」と主張しています。この建築冒険家は、それと関わりある小説にも挑戦、魅力ある作品になっているようです。
 厳しい日本の現状で、誰もが路上生活者に転落する可能性があります。しかしその狭い空間がもし希望の見出せる、金がなくても生きられる場になるとしたら、生き延びる事が出来るでしょう。坂口氏の仕事は、反貧困の活動家湯浅誠氏のそれとも良く似ています。次回は代表的な本のうちの1冊を読んでの感想を記す予定です。