ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

世界を貧困化させるおそるべき大国アメリカ

 「また彼らは、貪欲なので、作り事のことばをもってあなたがたを食い物にします。彼らに対するさばきは、昔から怠りなく行われており、彼らが滅ぼされないままでいることはありません」(ペテロ第二2:3)。
 堤未果さんは優れたルポライターで、米国を主体に積極的なインタビューを試みながら、貧困などの実態をあぶり出しています。これまでブログで何回か取り上げた事がありますが、今回の『(株)貧困大国アメリカ』は、その三部作の完結編で、非常に読みごたえがありました。同時にもはや米国企業とは言えない多国籍企業の実態を知って、戦慄を覚えた程です。付箋ばかりなので、数回に分けて紹介と学んだ事の追加をしたいと思っています。勿論広いアメリカの事、ルポ内容を鵜呑みにはしません。

 ここではプロローグに出て来るSNAP(補助的栄養支援プログラム=Supplemental Nutrition Assistance Program)(旧フード・スタンプ)を取り上げてみたいと思います。
 これはアメリカ政府が低所得者層や高齢者、障害者や失業者などに提供する食料支援プログラムです。2008年以前は「フード・スタンプ」と呼ばれていました。これはプラスチック製のクレジットカードのような形をしており、SNAP提携店のレジで専用機械に通すと、その分が政府から支払われるしくみとなっています。この店舗は全国で231,000店舗ほどあるそうです。このカードの上限は週29ドル、しかし州や受給者の収入によって異なり、ニューヨーク州では単身者月収1,180ドル以下ですと、月117ドルとなります。私のような低所得者の場合、1ドル=100円として、月11,700円ももらえると大変助かります。今日本の消費税アップ問題では、食料免除の論議は全くなく、こうしたフード・スタンプ支給も検討されていないようなので、大変苦境に陥りそうです(苦笑)
 ところがこれが良い事ずくめかと言いますと、全く違います。このカード月に1回真夜中に発売されますが、その日は全米各地の提携スーパーなどは、最安値の食品コーナーが人であふれるそうです。
 上限が決まっているので、加工食品、インスタント食品、炭酸飲料等々、健康には決して良くないと言われている食品に殺到するそうです。結果として肥満から糖尿病にまで発展する事例が増えています。ですからそうした安物へのカード使用を制限しようとする動きは当然ありますが、どの州でも法的措置がとられた例はありません。
 なぜかと言いますと、スーパー最大手のウオルマート社や、日本でも御馴染みのコカ・コーラ社などが、議会に圧力をかけ、法の成立を阻んでいるからです。
 そうした企業や政府当局の言い分は、「食品業界の消費が増えて経済が活性化する…低賃金や失業で困窮しているアメリカ国民が救われ…しっかり栄養をとることで就職活動にも力を入れられる…雇用も生まれる」という事です。
 けれどもSNAP受給者数がうなぎのぼりになっているにも関わらず、雇用のほうは一向に増えていません。貧困層は拡大の方向ですが、企業、特に多国籍企業は、そうした問題には一切関心がありません。株主はただ儲けさえすれば良いからです。
 すると、儲かるのは上記食品業界と、貧栄養で需要が増える薬品業界、それにもう一つあります。
 それがSNAPカード制作会社です。堤さんはJPモルガンの子会社「電子式財政サービス」を挙げています。このカード運営費などは極めて高額で、連邦と州が半々負担する事になります。例えばフロリダ州は年間約17億円近い額をJPモルガン社に支払う事になります。
 こうした食品業界、医薬品業界、SNAP関連業界は、オバマ大統領選挙でも多額の献金をしていますから、彼は就任二期目にこのSNAP市場拡大を目指しています。
 デトロイト市が破綻したミシガン州、こうした財政負担にどう対応出来るのでしょうか。そして他の州は?
 他国を貧困化させる米国、自国の州も民も貧困化させ、救いようのない(株)貧困大国化しつつあります。