夏野剛の能天気
「それは、うそつきどもの偽善によるものです。彼らは良心が麻痺しており」(テモテ第一4:2)。
2013年9月21日朝日連載の「夏野剛の逆説進化論」で、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特別招聘教授夏野剛氏が記事を書いていました。この連載の第一回目で私もブログにて触れた事があります(http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20130417/1366192150)
彼は進化論者で、特にIT革命を絶賛する新自由主義信奉の学者です。
見出しは「五輪開催は改革への好機」です。もし彼に「良心」というものが健全で麻痺していないなら、東京五輪開催の経緯で、必ず一言は触れてもよさそうですが、全然ありませんでした。この国際的なイベントが自国で開かれることを「斜に構えて見ている人もいる」というのが、「原発反対」「五輪反対」の人々の事を念頭に置いた僅かな言葉なのかなと思いました。しかし彼に言わせると、そういう人々は姿勢が「後ろ向き」で、「悲観論」ばかりはびこらせている事になります。
しかも彼らは「もうほどほどに」「いくら頑張っても無理だ」と言う気分を蔓延させているのだそうです。
その暗さが漂う日本に五輪の日本招致が決まりました。それこそ「将来もっといいことが起きるという前向きさ、楽観、自信を取り戻すきっかけになる」と彼は言います。
日本は成熟社会となり、青年期から中高年期に入っています。ですからnarumasa_2929さん(http://d.hatena.ne.jp/narumasa_2929/20130905/1378368029)が喝破されたように、「『老い』ている国に五輪は似合わないです」。それを夏野氏は「中高年でも『もう一回、がんばろうか』と思わせる効果がある」と主張して譲りません。3兆円と言われる経済効果だけでなく、「精神的に前向きになる効果」もあるからだそうです。
だから「楽観論に裏打ちされた改革を進める好機が到来したと思う…そこに日本の未来がかかっている」と言います。
彼が「将来、楽になると思うから痛い予防注射も打てる」という譬えを、どういう意味も含めて述べたのか分かりませんが、痛い予防注射に消費税増税も入っているのは間違いないでしょう。
彼の眼中には現在の福島の危機的状況が全く見えていません。「目があっても盲目の民、耳があっても聞こえない者たち」(イザヤ43:8)とは、まさに彼の事です。
夏野さん、あなたが慶応でITを教える為に費やして来た電気は、一体どこから来たのか分かっていますか?全て福島の犠牲の上に東京だけが享受して来たのですよ。
この夏野氏の顔の角度を変えると、あの小泉首相と新自由主義を進め、郵政改悪に加担した竹中平蔵氏の若い頃に似ています(苦笑)慶応大学は私たち庶民の悲観論を切り捨てるロクでもない教授に満ち溢れているようです。