新国立競技場建て替えに反対する建築家槇文彦氏
「ヤロブアムはエフライムの山地にシェケムを再建し、そこに住んだ。さらに、彼はそこから出て、ペヌエルを再建した」(列王第一12:25)。
2013年9月24日の朝日新聞文化欄に「異議あり 新国立競技場計画」という題で、建築家の槇文彦さんが問題点を指摘していました。
槙さんは現在85歳、建築界の長老とも言える人でしょう。東大工学部建築科で丹下健三氏から薫陶を受けたようです。その代表作は数ある中でも東京体育館ではないでしょうか。ここは1964年の東京オリンピックの時、会場として使用されました。この会場自体は水球と体操だけでした。私はまだ高校生でしたが、父が買ったばかりのテレビで特に女子バレーボールやマラソンなどの競技に夢中になっていました。
それ以後は室内プールを友人とよく利用していました。中央部が2.2メートルと深く、多摩川で鍛えた者としては非常に泳ぎやすかったです。今のプールはどこも浅過ぎて面白くありません。
今年9月こともあろうに、2020年のオリンピック開催地が日本と決まり、神宮外苑にある国立競技場を早速建て替えようという案が出されました。
右の画像は建築家のtonton3さんのブログ(http://ameblo.jp/tonton3/entry-11611279395.html)からお借りしました。tonton3さんによると、画像の右下が東京体育館で、比較するとこの新国立競技場計画案は巨大です。そしてこの場所は風致地区に指定されているので、法規にも違反するそうです。それがいつの間にか超法規的に緩和されていたそうです。
この建て替え案では総工費が1300億円するそうです。収容者数8万人、延べ床面積29万平方メートルになります。五輪史上最大級です。
槙さんはこの建物が巨大過ぎ、周囲の緑豊かな景観を損ねるという事だけでなく、安全性の観点からも大いに疑問ありと心配しています。周囲には8万人の動きに対応出来るような十分な広場もありません。五輪が終わった後も、建物としての魅力はあまりなく、運営が行き詰まる事もあり得るそうです。その負債は私たちが負う事になります。
そんな巨大なものを建て、景気浮揚策ばかりでなく、その建物を誇示しようとするなら、同時進行中の福島原発解体作業、避難民などの事が霞んでしまい、全く反聖書的なわざです。「貧しい者が国のうちから絶えることはないだろうから、私はあなたに命じて言う。『国のうちにいるあなたの兄弟の悩んでいる者と貧しい者に、必ずあなたの手を開かなければならない』」(申命15:11)。総工費の全てを福島の為に捧げるべきです。
大震災後の危険性もまだ続いているわけですから、即刻こんな建物案廃止するべきではないでしょうか?槇さんの提案を受けて、これからその妥当性を巡るシンポジウムが開かれます。活発な論議を期待したいと思います。