ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

『正社員が没落する』を読んで、新たに学んだ奨学金の恐ろしさ

 「わたしの民のひとりで、あなたのところにいる貧しい者に金を貸すのなら、彼に対して金貸しのようであってはならない。彼から利息を取ってはならない」(出エジプト22:25)。
 私がこの本を知ったのは、「天天日記」のmm3493さんからです(http://d.hatena.ne.jp/mm3493/20130924)。
 堤未果さんと湯浅誠さんの対談からなるこの本、堤さんのはこれまでずっと読んで来ているので、最近湯浅さんの考えている事を主体に、自分も勉強してみました。非正規は勿論正規に雇用された若者たちも、いつ解雇され没落して路上生活になるか分からない時代になりました。新自由主義米国の後追いとなっています。

 その契機となるものの一つが奨学金制度です。湯浅さんの説明を読んで本当にびっくりしました。昔育英会奨学金制度がありましたが、現在独立行政法人日本学生支援機構http://www.jasso.go.jp/saiyou/riritsusentaku.html)がそれを担っています。優秀な貧困学生に貸与される第一種奨学金は利子なしで返済ですが、一般の学生の場合、第二種奨学金となり、これは在学中及び返還期限猶予中は無利息であっても、返済が始まると利率は年3%が上限でかかって来ます。平成22年度で利用者は学部学生で両者含め50パーセントを越えました。学費は私立も国立も高く、長引く不況で親の収入が現象している現在、そうせざるを得ないからです。
 問題はそれを延滞した場合です。これが非常に恐ろしいです。第一種でも第二種でも容赦なく延滞金が課されます。
詳しく見て行くと、第一種奨学金は以下の通りです。
 ≪無利息≫ 約束の返還期日を6ヶ月過ぎるごとに、延滞している割賦金の額に対し、5%の延滞金が課されます。なお、平成17年4月以降に奨学生として採用された人は、延滞している割賦金の額に対し、年(365日)あたり10%の割合で返還期日の翌日から延滞している日数に応じて延滞金が課されます。
 第二種の場合はこうです。
 ≪利息付き≫ 約束の返還期日を過ぎると、延滞している割賦金(利息を除く。)の額に対し、年(365日)あたり10%の割合で返還期日の翌日から延滞している日数に応じて延滞金が課されます。
 そして日本学生支援機構は、まず対象者に電話や文書で通知しますが、債権回収会社への架電(*電話をかける事)業務委託を行っています。そこで湯浅さんは「もともとサラ金で働いていたような債権回収のプロが取り立てる」と言っています。
 それでも応じる事の出来ない長期間延滞が続く対象者は、民事訴訟法に基づく法的措置をとる、と明確に宣言しています。ちなみに延滞者についてあるサイトでは「 延滞や滞納をしている人数が2004年には198万人だったのに対して2011年には334万人と、7年間で130万人以上も急増しており、奨学金を延滞、滞納してる人は、ここ数年で急増しています」といっていますから、事態は深刻で、実態は通常のローンやクレジットカードの延滞と同等の督促を行なっている事になります。2011年段階でそうした法的措置を含む督促を受けた人が1万人いるそうです。
 さらにです。湯浅さんは3か月そうした状況になると「金融機関などで作る信用情報機関ブラックリストに載せ、即時の差し押さえも辞さないと言っている」と憤慨しています。ブラックリストに載った対象者は、住宅ローンが組めなくなります。
 いったんそうなると、或るサイトの方は「大学卒業の23歳から奨学金の返済を滞納して延滞が載ってしまい支払期間の20年逃げ続けた時点で43歳、時効の援用をしようとしたらそこからさらに10年かかるので53歳、ここで時効の援用をしたとして、そこから5年なんと58歳まで延滞の事実が全銀協に掲載、ブラックリストは消えません」と言っています。
 どうです、今は奨学金は立派な金融商品となり、支払い不可能な学卒者はたとえ正規社員として就職出来ても、大きな負債を抱え、解雇されたら、即貧困、路上生活になってしまいます。
 米国と同様、そういう人を自衛隊リクルートしているようで、湯浅さんの「もやい」にも担当者が来たとの事です。
 非正規労働者の低賃金に引っ張られる形で、正社員の賃金も下がり、ノルマは増える一方、湯浅さんは「正社員=勝ち組」という構図は大嘘だと考えている、と言っています。正社員も貧困のスパイラル(=悪循環)に巻き込まれ、皆貧困化し、中流層がやがていなくなり、1パーセントの富裕な若者だけが牛耳るひどい日本になりつつあります。正社員も非正規の人々も、うちわもめしている場合ではありません。幅広い連帯で権利獲得を目指すべきです。