徳洲会による猪瀬東京都知事への5千万円提供
「あなたはさばきを曲げてはならない。人をかたよって見てはならない。わいろを取ってはならない。わいろは知恵のある人を盲目にし、正しい人の言い分をゆがめるからである」(申命16:19)。
2013年11月21日、徳洲会の公選法違反事件を調べていた東京地検特捜部は、猪瀬直樹東京都知事が都知事選挙前に、徳田虎雄前理事長の次男毅衆院議員を通して、5千万円を受け取っていた事を突き止め、世間をあっと言わせました。
新聞記事を追ってゆくと、明るみに出てから朝日等取材に対して、「私は全く関知していない」と突っぱねました。「ああ。うそを綱として咎を引き寄せ、車の手綱でするように、罪を引き寄せている者たち」(イザヤ5:18)。かつての信州大学全共闘議長として、こうした問題には先鋭な戦いをしていたと思われる猪瀬氏の堕落ぶりは目を覆うものがありますが、これが人間固有の罪・咎から来る恐ろしい誘惑です。
しかしこうした金は必ず政治資金収支報告書に記載しなければならないのに、記載されていなかった事から、さらなる追及を受けると、公選法に抵触しないよう、議員会館で直接毅議員から5千万円を手渡しされた事を述べ、あくまで「個人の借り入れ」と弁解し借用書を作成しました。「ユダが答えた。『私たちはあなたさまに何を申せましょう。何の申し開きができましょう。また何と言って弁解することができましょう。神がしもべどもの咎をあばかれたのです。今このとおり、私たちも、そして杯を持っているのを見つかった者も、あなたさまの奴隷となりましょう』」(創世44:16*このユダは裏切りのユダではありません)。
猪瀬知事はこのお金が選挙資金でなかった事を繰り返し述べ、妻名義の貸金庫に保管、地検の捜査が迫ると、慌てて現金を紙袋に入れ、虎雄氏の妻に返却したそうです。その場で突っぱねないで受領し、返却の遅れは妻の病気や五輪招致などと弁明しました。それに関連し、コラムニストの辛酸なめ子氏は、「普段はあとで何を要求されるのか怖くて、お金を見た瞬間に断ると思う」と言っていましたが、全く同感でそれが出来なかった猪瀬知事の良心は、その時完全に麻痺していたのでしょう。「それは、うそつきどもの偽善によるものです。彼らは良心が麻痺しており」(テモテ第一4:2)。
猪瀬知事はこの5千万円、時期的には選挙資金として符号しますが、それを否定し続けているので、やはり考えられるのは五輪招致関連で何か使う意図があったのだと推測されます。
26日の新聞記事では、猪瀬知事は自ら借用書を掲げて公開しました。彼はそれが間違いなく原本である事を言い張っていますが、5千万円という金額にしては、改めて無利子・無担保・実印無しのその借用書を見ますと、偽りのような気がします。「人が【主】に対して罪を犯し、不実なことを行うなら、すなわち預かり物や担保の物、あるいはかすめた物について、隣人を欺いたり、隣人をゆすったり、あるいは落とし物を見つけながら欺くなど、人が行って罪を犯すことになるどれか一つについて偽りの誓いをする場合、この人が罪を犯し、後で咎を覚える場合、そのかすめた品や、強迫してゆすりとった物、自分に託された預かり物、見つけた落とし物、あるいは、それについて偽って誓った物全部を返さなければならない。元の物を償い、またこれに五分の一を加えなければならない。彼は咎を覚えるとき、その元の所有者に、これを返さなければならない」(レビ6:2〜5)。聖書の時代なら返却にはその五分の一を加える事になっています。隠ぺいの意図は明らかのようです。
私たちは五輪招致より、原発即廃止の訴えをして来ました。もし5千万円が五輪がらみの汚れてお金だったとしたら、即刻知事を辞め、東京や福島の被災者らにお詫びの行脚を行なうべきだと考えます。あくまで辞任しないという言明に、その罪は残ります。「イエスは彼らに言われた。『もしあなたがたが盲目であったなら、あなたがたに罪はなかったでしょう。しかし、あなたがたは今、「私たちは目が見える」と言っています。あなたがたの罪は残るのです』」(ヨハネ9:41)。