或る種の脂肪は人間の体重減少の為に役立ちます
「エシュルンは肥え太ったとき、足でけった。あなたはむさぼり食って、肥え太った。自分を造った神を捨て、自分の救いの岩を軽んじた」(申命32:15)
2013年10月2日のサイエンスデイリサイトでは、上記の題の記事がありました。
一般に脂肪の多い食べ物を食べると、体重は太る方向に傾くでしょう。脂肪1グラムは9キロカロリー、炭水化物、タンパク質 は4キロカロリーというのが、中学などで習った知識です。人間は使用しないエネルギーを脂肪として蓄える為、飽食の現代世界では或る人々に肥満をもたらします。
しかし或る種の脂肪は実際には代謝(栄養素をエネルギーに変え、消費するシステム)を増やすという研究が、テキサス工科大学の栄養科学者たちによってなされました。実験に使われたのは遺伝子組み換えマウスでした。
研究者たちは肥満な人々の骨格筋に、飽和脂肪酸(肉類の脂肪や乳製品の脂肪に多く含まれ、摂取のし過ぎで中性脂肪や悪玉コレステロールの合成を促進)を壊すある種の酵素が含まれている事に興味をそそられました。
そこで研究チームは遺伝子組み換えマウスを使って、骨格筋が常にその酵素をたくさん生み出すようにしました。そして通常なら発現しないその酵素を作る遺伝子を特定しました。又その酵素はSCD−1(ステアロイルー補酵素不飽和化酵素)である事が分かりました。この酵素は飽和脂肪酸を一価不飽和脂肪酸に変えます。それならもっと代謝を容易にします。それは肝臓で消費した食べ物の脂肪量によって産生しますが、激しい運動をした筋肉組織、或いは肥満の場合において、骨格筋はその酵素を産生します。
次にその遺伝子の制御を取り除き、発現したSCD−1を観察してみると、遺伝子組み換えマウスは、野生のマウスに比べ代謝が亢進する、つまり消費カロリーが高くなる事が分かりました。そのマウスはエネルギー消費を増やし、運動能力を大幅に増加させました。運動用の回し車で、野生のマウスは7〜10分で疲れます。しかし遺伝子組み換えマウスはおよそ70分も疲れませんでした。ですから極めて長い時間走りました。
このマウスを観察したチームは、高レベルの多価不飽和脂肪酸を発見しました。多価の不飽和脂肪酸は、リノール酸、EPA、DHA(=サバ、イワシなどに多い)などを含んでいますが、実験では特に食事を通してのみ得られるリノール酸が突出していました。それはこのマウスが野生のマウスよりもっと多くの食べ物を摂取していたという事です。それにもかかわらず遺伝子組み換えマウスは、体重が野生のマウスより少なかった事が分かりましたし、その運動能力も増加した事も分かりました。
勿論遺伝子組み換えという作業は、人間にとって選択肢とはなり得ません。しかし人間の食事補給で有益な情報をもたらす可能性はあります。今後に期待したいところです。