ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

機密報道で英議会に呼び出されたガーディアン紙編集長

 「隠れているもので、あらわにならぬものはなく、秘密にされているもので、知られず、また現れないものはありません」(ルカ8:17)。
 2013年12月6日深夜安倍政権は参議院特定秘密保護法案を可決し、成立させてしまいました。
 暗然たる思いですが、こうした法案が唐突に出て来た背景には、米中央情報局のエドワード・スノーデン本職員から機密情報が漏れたという事(もっと古くはジュリアン・アサンジ氏等も)が、米国国家安全保障局(NSA)と、英政府通信本部(GCHQ)の重視するところとなり、日本にも秘密保持の為の対処を求めたからではと推測しています。
 英国で機密文書を公開したのは、英紙ガーディアンです。1821年に設立された中道左派系の老舗と言えるでしょう。米国で言えばニューヨーク・タイムズ誌と互角ではないでしょうか。

 この機密報道を巡り朝日が12月5日に、英議会の内務特別委員会へ呼び出されたガーディアン誌のアラン・ラスブリッジャー編集長(59才)の反論などを掲載していました。それはhttp://www.theguardian.com/world/2013/dec/03/guardian-not-intimidated-nsa-leaks-alan-rusbridger-surveillanceのビデオで閲覧する事が出来ます。英語が少しでも分かる方なら、英国議会委員会の議員たちを前に、一歩も引かないで、時にユーモアも交えて反論している光景が見られます。この10分足らずのビデオでは、日本と違ってヤジもなく、紳士的な論争のように見えました。やはり由緒ある国だなとは思いました。
 とにかく議会でのやり取りを見ていますと、たった一人で乗り込んだラスブリッジャー編集長、質問に対して堂々と答え、怖じるところがありません。朝日によればこれからも、訴追という脅しには屈せず、ニューヨーク・タイムズと連携しながら、慎重な取材と報道により、報道の自由を守って行こうとする気概を感じました。
 スノーデン氏から受けた内部文書は約5万8千件、そのうち公表したのは僅か26件です。今度の進捗状況によっては、窮地に陥るのは、英政府通信本部であり、米国国家安全保障局でしょう。当然相当な圧力をかけて、報道の差し止めを狙って来る筈です。この動きには国内のメディアの大半が政府支持で、定評あるBBC放送も無視したそうです。この孤立しかねない状況に、ニューヨーク・タイムズは援護射撃をしています。その社説では「報道の自由が脅かされている」という題でした(http://www.nytimes.com/2013/11/15/opinion/british-press-freedom-under-threat.html?_r=0)。またフランスのル・モンド紙でも「ガーディアンは脅しに屈しない」という題で、やはり支持しています(http://www.lemonde.fr/europe/article/2013/12/03/affaire-snowden-the-guardian-ne-se-laissera-pas-intimider_3524830_3214.html)。ドイツのシュピーゲル誌の題はマツケンさんに訳してもらわないと分かりませんが、やはり的確に報じていると思います(http://www.spiegel.de/politik/ausland/guardian-chef-rusbridger-soll-in-nsa-affaere-aussagen-a-932745.html)。
 弁護士のベン・エマーソン氏も、ガーディアン紙への投稿で、「こうした類のジャーナリズムが、テロ援助や扇動と同一視しようとする、驚くべき提案は断固捨て去るべきだ」と述べています。
 では秘密保護法の成立してしまった日本ではどうでしょうか?こうした気骨ある編集長が国会で答弁するといった光景は、まず見られないのではないかと思いました。