ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

佐藤初女著『「いのち」を養う食』を読んで

 「わたしはいのちのパンです」(ヨハネ6:48)。
 2013年12月幕内秀夫氏の粗食の勧めに刺激を受けて、同じような食を心掛けている佐藤初女さんの上記の本を借りて読んでみました。

 佐藤さんは1921年青森市生まれで今年92歳、この本を執筆中に東関東大震災を経験されました。それにより被災現場で、これまでの実践経験が大いに生かされて来ました。
 佐藤さんは1992年に青森で「森のイスキア」という教室を立ち上げ、素朴な食材の味をそのまま生かして頂く事で、身体と心の問題も改善してゆこうという運動を積極的に進めておられる、敬虔なカトリックの信徒です。
 イスキアとは聞き慣れない言葉ですが、佐藤さんは「イタリアの南西にある火山島の名前ですが、私達はこの『イスキア』を心のふるさと、どうにもならない程の重荷を感じたとき、そこへ行けば、癒され、自分を見つめ、新たなエネルギーを得て、生き生きとして自分の現実へ立ち戻ることのできるような場所ということで『イスキア』と命名いたしました」と言っています。それは厳しい現実の中で生きるクリスチャンが、日曜日教会に行って聖書から力を頂き、また現実の社会へ戻るのと似ています。
 「和食 日本人の伝統的な食文化」が、この12月無形文化遺産に登録される事が決定しましたが、そうした動向とは無関係に、血糖値の問題と取り組んでいる私としては、これまでの考えを替え、伝統的な和食に挑戦してみる事にしました。ご飯だけでは太らず、血糖値も上げないという幕内さんの考え方を、佐藤さんは補強しています。
 まず冒頭に近い個所で佐藤さんは、「食事というのはさまざまな食材から『いのち』をいただくわけですから、必ず元気になるんです」と言っています。それもちゃんと食べる、皆で一緒に食べる事が大切だと言っています。
 この食材のいのちを生かすような料理を心がける事が、この本で繰り返し出て来ます。「牛や豚や鶏、魚や野菜に宿る『命』を大事に扱って料理としていただく…」。
 そのうち一番大切なのが幕内さんも主張しているご飯です。これが美味しく炊けていなければ、他にどんなご馳走が出ても美味しくないと、佐藤さんは断言しています。お米にはダントツに「力」が宿っているからです。その一歩がお米を「洗う」事から始まります。「とぐ」のではありません。両手で包み込むように軽くすリ合わせます。水加減も大切で、7割ほどお米が白くなっていたらOKです。すると炊きあがりの時、コメの一粒一粒が立っているそうです。
 次はみそ汁です。忙しい私はついダシ入りのものを買って来るか、調味料で味付けしてしまいますが、昆布と煮干し又は焼き干しこそ大切です。これで作る手間を惜しんではならないのです。それに豆腐や野菜の具を一杯入れて作れば、もう他におかずは必要ないと言ってよいほどです。でもあえて幾つかレシピとして挙げられています。「にんじんの白和え」「にらの黄身あえ」「一夜漬け」「花豆の含め煮」「糠漬け」「梅干し」「高野豆腐を使った牛肉のすき焼等々。
 それぞれ手間暇かけ細心の心遣いが必要です。
 *人間は最初植物を食べて生きるよう造られました。「神は仰せられた。『見よ。わたしは、全地の上にあって、種を持つすべての草と、種を持って実を結ぶすべての木をあなたがたに与える。それがあなたがたの食物となる』」(創世1:29)。そしてノアの洪水後「生きて動いているものはみな、あなたがたの食物である。緑の草と同じように、すべてのものをあなたがたに与えた」(創世9:3)。
 ですから私たちは今動物性・植物性の食品を全て食べる事が出来ます。それらが私たちのいのちの支えになります。それを労苦して作り、感謝して頂く事が大切です。男女誰もがそれに参加すべきです。そして出来たものを皆で分かち合う事、究極的には神がそれらを与えて下さる事を覚える事が大切です。いつの時代でも「人はパンだけで生きるのではない、人は【主】の口から出るすべてのもので生きる」(申命8:3)からです。