ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

ウオールストリートジャーナルがインタビューした本田悦朗氏とは

 「あなたがたは、あなたがたの神、【主】が命じられたとおりに守り行いなさい。右にも左にもそれてはならない」(申命5:32)。 
 2014年2月19日のウオールストリートジャーナル日本版に「ナショナリスト本田悦朗氏がアベノミクスで目指す目標」という題の記事がありました。

 本田氏はウイキペディアによると、戦後の1955年生まれ、東大法学部を出て大蔵官僚になり、現在静岡県立大学教授、内閣官房参与となっています。写真は静岡県立大学ホームページより。
 ですから本田氏は戦前の悲惨な戦争の実態を知りません。いやそれよりも天下の東大法学部を出ながら、その視野はナショナリストと言われるように、極めて狭量で、多くの確立した歴史的事実に全く無知な人です。一体どんな歴史を学んで来たのか、極めて疑問ですし、でっかい頭をした幼児と言われても仕方がない人です。上記日本版より彼の発言を2つ拾ってみましょう。
 1「日本が力強い経済を必要としているのは、賃金上昇と生活向上のほかに、より強力な軍隊を持って中国に対峙できるようにするためだと語った。同氏(*本田氏の事)は中国に『深刻な脅威を感じている』としている」。
 これはナショナリストを自称する本田氏の本音でしょう。彼の眼中にはその他多くの平和的解決を望む人々の姿が見えないだけでなく、聞く耳もありません。「骨折には骨折。目には目。歯には歯。人に傷を負わせたように人は自分もそうされなければならない」(レビ24:20)という論理を踏み越えたイスラム原理主義の立場と同じです。インタビュー後、この部分が自分の意向と異なると抗議した記録はありません。
 それに対しては、私はキリスト者として「平和をつくる者は幸いです。その人たちは神の子どもと呼ばれるから」(マタイ5:9)を地道に実践してゆく他ありません。
 2「本田氏は大学教授でもあるが、その言わんとすることを強調するため神風特攻隊が米空母に体当たりするさまを頭の高さに上げた左手を落として表現した。同氏は『日本の平和と繁栄は彼らの犠牲の上にある』と、目を真っ赤にさせながら言い、『だから安倍首相は靖国へ行かなければならなかったのだ』と語った」。
 ここが米国側にとって重大発言でしょう。そして日本の大多数の人々にとっても。
 この記事を見る限り、本田氏が「神風特攻隊が米空母に体当たりするさまを頭の高さに上げた左手を落として表現した」という報道に、ねつ造の入る余地はないです。自分で表現したのですから。しかも単純な事実です。さらに「目を真っ赤にさせながら言い」というくだりも、インタビューした記者の目をごまかす事は出来なかった筈です。空涙を自演したわけではないでしょう。
 どうも私には本田氏が「だから安倍首相は靖国へ行かなければならなかったのだ」、と書かれた事が気に入らなかったのだと推測します。
 そこで2月20日のハフポストジャパンサイトでは、「本田氏は『靖国神社は日本国民にとって特別な場所という例として説明した。ああいう記事になり予想外だ』」と官邸で記者団に反論した」とあります。また同日の東京新聞サイトでも「発言趣旨違う」とした上で、「私の見解ではなく、靖国神社とはそういうものだということをオフレコでざっくばらんに説明しようと思った」と続けています。
 現在本田氏は他の失言者たちのように、発言を撤回したり、弁解したり、謝罪したりという事はしていません。むしろ本音でありながら、これだけ騒がれている、まずい、だからここは「私の見解ではなく」と責任逃れをしています。これは「自分の議論を『公平』だと無根拠に断言」し、「都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事」をし、「わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する」等々、典型的な「東大話法」に共通しているものだと思います。原子村の人々の論理も同じです。
 問題は「靖国神社は日本国民にとって特別な場所」という本田氏の認識です。これは私の見解と真っ向から異なるものです。赤紙によって徴用された無数の兵士たちが無念にも戦死し葬られ、後にA級戦犯も含まれ、キリスト者が拒んでいる靖国神社、多様な思いを持った人々がいるのは分かります。しかしそれを「日本国民」と敷衍した所に間違いがあるのに、本田氏はそうした人々の事が眼中にありません。
 でもそれ以上に本田氏は「神風特攻隊」だけを取り上げ美化しています。そして「日本の平和と繁栄は彼らの犠牲の上にある」と断言しています。これは安倍氏がNHKに入れさせた反動的な百田尚樹氏の『永遠のゼロ』も影響を与えているかもしれません。しかし神風特攻隊は敗戦に近い末期的な状況下の1944年10月に初めて編成されたもので、大西瀧治郎海軍中将らによる非人間的な戦略・戦術でした。志願者だけでなく、強要された学徒たちも多くいたのは、記録を読めばすぐ分かる事です。
 この特攻隊に先立つ徴兵で戦地に追いやられた人々の累々たる屍の上に日本の敗戦があり、生き残った人々は一からの出直しで、彼らの努力の上に、日本の平和と繁栄が築かれたと言っても間違いではないでしょう。
 しかし本田氏の発言は「だから安倍首相は靖国へ行かなければならなかったのだ」と書かれています。私は発言の趣旨が違うわけはないと想像します。事実22日の東京新聞でも、ウオールストリートジャーナルに表現の撤回を求めていません。
 それにしても東大法卒の元エリート官僚(今大学教授)、何と想像力の欠けた、独りよがりな見解でしょうか?高校、大学で一体どんな日本史を学んだのでしょう。これが東大卒の知性なら、そんな人間を育てている東大なんて潰れてしまえ!と言いたくなります。「偽善の律法学者、パリサイ人たち」!