ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

腸の細菌叢が肥満な人々の健康を左右する

 「口に入る物はみな、腹に入り、かわやに捨てられることを知らないのですか」(マタイ15:17)。
 2013年8月30日のサイエンスデイリサイトに、上記の題で論文の紹介がありました。
 肥満な人々の数は年々増えて、2005年の4億人から、2015年には7億人以上になりそうです。
 ところで人間の腸の細菌叢の研究は増えていますが、その中で研究者たちは肥満と腸の細菌叢との関連を追求し始めました。

 細菌叢ですが、「腸の中には500〜600種類、600〜1000兆の細菌が棲んでいるとされています。腸内細菌は特に小腸の終わりから大腸にかけて多く棲み着いており、有機酸やビタミンなどの体に有用な物質を作り出す善玉菌、硫化水素やニトロソアミンといった腐敗産物を作り出す悪玉菌、まだ生理機能がよく分かっていないいわゆる中間菌などが常にせめぎあいを展開しながら、宿主である人間とお互い影響しあいながら生きています。このような様々な菌があたかも『くさむら』のように入り混じって棲んでいるので、『腸内細菌叢(そう)』とも呼んでいます」(森永乳業のサイトから)とありました。ちなみに下記の本田氏の計算では細菌の種類は約1千種です。
 この論文の調査対象者は169人の肥満なデンマーク人と、そうでない123人のデンマーク人でした。
 すると種類の豊富な叢を持っている人は、概して健康で肥満ではありませんが、そうでない人は肥満状態を昂進させ、慢性的炎症を起こしやすい事が分かりました。そうした肥満な人々は、心臓血管状態で見ると、他のグループより危険性が高い事が分かりました。体重増加や食事習慣だけが、肥満な人の合併症進展で役割を果たしているのではないという事を示しています。
 研究者たちはこうしたタイプの研究をさらに大規模に行い、従来の治療の改善や、医薬品の改良に向けて、効果のある方法の新たな一歩を踏み出したいと願っています。
 一方2014年5月7日のヤフーニュース(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140506-00000558-san-hlth)を見ますと、「肥満、第3の(環境)要因に『腸内細菌の変化』伝統的な和食で予防可能」という題の記事がありました。
 この場合第1の要因は「食べ過ぎ」、第二の要因は「運動不足」だそうです。
 そして研究者たちは健全な腸内細菌叢を保つには欧米型の食事ではなく、伝統的な和食が良いと推奨しています。
 またこのニュースでは米国ワシントン大学の研究者たちによる論文も紹介しています。「片方が肥満、もう片方が痩せ形の双子4組を選び出し、腸内細菌が大量に含まれるそれぞれの便を無菌のマウスの腸内に移植してみると、太った人の便を移植したマウスは太り、痩せ形の人の便を移植したマウスは太らなかった」そうです。日本肥満学会理事長の春日雅人氏は「細菌叢の差違は肥満の結果もたらされたのではなく、肥満を引き起こす原因だったことが示された」と言っています。
 さらに理化学研究所統合生命医科学研究センターの本田賢也氏は、「腸内には約1千種、総重量で1キロの細菌が存在し、共生している。それらの共生関係が崩れると、肥満・メタボといった代謝性疾患やアレルギーなどの免疫疾患につながる」と言っています。本田氏によると、この細菌の共生関係を崩す原因として、「脂肪が多くカロリーの高い欧米型の食事が挙げられる」そうです。そうした高脂肪食を1週間も続けると、「細菌叢の構成が変化したという複数のデータ」があります。また植物繊維の少ない食事や、同じメニューの食事を繰り返し摂取しても、共生関係を崩すそうです。
 私は1976年食道裂傷で胃を全摘し、腸内細菌叢が一変してしまいました(外科的侵襲もその1原因です)。共生関係が崩れ、悪玉菌が増加した結果、腸内が腐敗膨張して互いにくっつき、腸閉塞になりました(3度も!)。ですから上記の研究はいずれも正しい事が経験的に分かります。肥満や疾病を恐れる方々、種類の多様な腸内細菌の好ましい共生関係を崩さない為、欧米型の食事から和食への転換をお勧めします。