ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

「稲説」が南北中国の文化的違いを説明

 「主は、あなたの地境に平和を置き、最良の小麦であなたを満たされる」(詩147:14)。
 2014年5月8日のサイエンスデイリサイトに、上記のような論文紹介がありました。
 既にこうした研究は和辻哲郎が『風土』の中で行なっていて、モンスーン、砂漠、牧場の三つの類型を述べており、個別的に中国では、砂漠とモンスーンを媒介する河として黄河を取り上げ、上記論文に出て来る揚子江にも言及していました。
 今回はヴァージニア大学で博士号を持っている文化心理学専攻の学生で、研究の主執筆者トーマス・タルハイム氏が書いています。ウイキペディアによると、「文化心理学比較文化心理学と人類学から発生した社会心理学の一種である。文化と心は切り離しがたいものと考えるところから出発したものである」と説明されています。

 タルハイム氏は2007年に中国南部の稲作農業を行っている広州へ行き、次いで1年後中国北部の北京へ移動しました。そこで彼は方言や農業形態の相違に初めて気が付いたのです。彼は再び大学に戻り、研究を続けました。そして彼は揚子江に注目しました。「私は揚子江が中国の方言を分けている事が分かりました。そしてまもなく揚子江がまたおおよそ稲作と小麦栽培とを分けている事も知りました」。
 彼は過去の人類学者たちの文献などを調べ、「稲作農業は共同するという経済的動機を与え、何世代もかけて築かれたそうした文化がさらに相互依存的となるのに対して、互いにあまり依存する事の無い社会では、自由な個人主義になる」という考え方に達しました。そこで早速中国の同僚たちとその調査に取りかかりました。そして1,162人の南北漢民族の大学生、また稲作と小麦栽培の分かれる境目となる郡の学生たちの思考様式の心理学的研究を行いました。北方の北京、南東の福建、南方の広東、南西の雲南、西部中央の四川、北東の遼寧という6つの都市でした。
 その結果「比較すると北方の中国人は確かに個人主義的且つ分析思考をする人々であって、より西洋人に似ているものの、南方の中国人は相互依存的で、包括的思考をし、友人たちに対してはすごく信義を守る事が示されましたが、それは他の稲作を行う東アジアの国々、例えば日本や韓国と共通している事が分かりました」。揚子江を隔て、「北部の人々は比較的攻撃的で独立していますが、南部の人々は比較的協調し合い、相互依存している」わけです。
 南部は温暖、北部は寒冷なので、それが農業にも影響を与えています。つまり南部は稲作農業主体で、北部の小麦栽培より、植え付けから収穫まで2倍の時間がかかります。また「ほとんどの稲は灌漑地で成長し、水の分ち合いが必要になるので、堤防も運河も常に管理が必要で、一緒に働いて造成し、皆が依拠するインフラを維持してゆかなければなりません」。だからタルハイム氏は「南部地域では相互依存の文化をもたらした」と主張しています。
 一方「北部の小麦栽培は乾燥地で成長し、湿気を雨に頼っています。農夫たちは人をあまり頼らないでやってゆけるので、独立したものの見方をしており、それが北部の文化に浸透しています」。
 *この研究は現代中国人の性質を知る一助となりそうです。個人主義的で攻撃的なのが目立つ理由は、北部出身の人が多いからでしょうか?でもネットの情報では南部広東省出身の人が多く指導層にいるようです。ですから中国北部南部を含め、総合的に中国を理解し考えて行くのが、日中関係改善の為にも大切でしょう。