ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

福島問題を考えるフォーラム2015に参加して

 「指導がないことによって民は倒れ、多くの助言者によって救いを得る」(箴言11:14)。
 2015年2月28日、千葉県船橋市勤労市民センターで開かれた上記の講演に行って来ました。
 5人の方々が壇上に立ちました。最初は福島県郡山市で整形外科医院を営み、現在石川県小松ソフィア病院勤務の種市靖行医師、次に私もブログで取り上げた事のある、『県民健康管理調査の闇』等の著者で毎日新聞記者日野行介氏、次いで福島県三春町で被災し、喫茶店の営業を断念して現在福島原発告訴団団長となっている武藤類子氏、「千葉県放射性廃棄物を考える住民連絡会の藤原寿和氏、「放射能からこどもを守ろう関東ネット」の柴田圭子氏でした。

 種市医師の名前は初めて聞きましたが、震災直後から放射能汚染状況を精力的に調査していました。特に子どもの甲状腺検査が二巡目に入り、新たに8人の子どもに癌が見つかり、この4年間で110名以上に上った事を指摘した上で、なお二次検査の必要な対象者が2,251人もいる事を訴えていました。種市医師は特に震災当時16〜18歳の高校・大学生などの受診率が51パーセントと低く、それから漏れた人の中に癌が進行していたり、転移している人が相当いるのではないかと危惧していました。もっと積極的に受診する事を皆で促し、さらに対象を福島県外の人々にも広げなければいけないと提言していました。もし実施したら推定でも上記110名余から200名近くになるだろうと言っていました。鈴木眞一教授の言う過剰診断ではなく、過剰発生という事になります(当日のスライドはhttp://csrp.jp/wp-content/themes/CSRP2014Ver2/slides/Taneichi_J.pdfが基になっていますので、参照して下さい)。
 しかしです。種市医師は整形外科医で、甲状腺エコー検査の為には、新たに講習を受けてA,B,Cある判定のうちA判定に合格しなければなりません。猛然と勉強して取得したものの、震災当時は県内にそうした資格者が一人もおらず、全国の医師の応援を頼んだそうです。そこで県内でも講習を受けている医師が多いのですが、最近A判定しか認めないので、認定医は極めて少なくなり、その為の施設として認定されたのも僅か2つだけでした。出来るだけそうした認定医を生み出さないという当局の狙いがあるそうです。甲状腺の嚢胞と結節で、後者に癌になる可能性があるそうですが、確かに見極めの為にはA判定の医師でないと難しいようです。ちなみに当日会場で配られた小冊子では、福島の各地の甲状腺癌の発見率の図が出ていましたが、何と二本松市福島市などを抜いて3倍近くなっていました。私もそこを訪問しましたが、今後子どもたちのさらなる検査が必要でしょう。

 次に日野行介氏ですが、講演内容は氏の最近の2冊の本で言っている事とほとんど同じでした。県民健康調査への回収率が極めて悪いし、対象者を年何ミリシーベルト以下にするかという事でも、いまだその経緯は分からず、秘密主義が跋扈しています。避難解除区域では自己責任で子どもに線量計を渡し、学校給食も地産地消で済ますという事が行われています。いい加減な除染で、移染に過ぎないのに、早く避難者を地元に戻そうとする動きも進んでいます。その不条理さを力説していました。

 3番目に登場したのが福島原発告訴団長の武藤類子でした。最近検察審査会では、東電の3人の責任者を無罪としました。さぞ怒りの報告と思いきや、三春町に住みながら最近の原発現場その他を精力的に動き、写真に収めており、それをスクリーンで公開してくれました。漏れ続ける汚染水、原発1号機の建屋カバーが外されたところ、まだ閉鎖中の国道288号線に立つ警備員、6号線開通による原発に近い車の走行、中身のはみ出た黒いフレコンバッグ、除染実施地域の線量値、各地の仮置き場の光景、葛尾村仮設住宅群等々、いずれも最近の生々しい画像ばかりでした。武藤氏はそれを淡々と語っていました。今新たに元保安院の官僚や東電の津波担当者らの告訴に踏み切り、忙しい毎日を過ごしています。


 最後の短い時間に藤原寿和氏と、柴田圭子氏が、ホットスポットとなった千葉県の状況を話してくれました。藤原氏は指定放射性廃棄物測定で、一般に8,000ベクレルもあるのに、千葉県で今後5,000個所にわたり、その候補地を探している事を述べ、断固阻止しなければならないと訴えていました。柴田氏は千葉の東葛地域(松戸、柏、流山等)を主体に利根川水系の先端まで、主婦たちで土壌汚染を数千個所にわたり測定し、その地図を作製しました。東葛地域から茨城県霞ヶ浦に至るまで、15万ベクレルもある所が多々見られます。これは貴重な成果だと思いました。子どもを守る為のこうした主婦たちの地道な活動は凄い!
 3・11から4年後も、何も変わらないだけでなく、新事実が次から次へと露呈されています。その事を改めて子の講演から実感させてくれました。