ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

再度産経新聞掲載の曽野綾子コラムについて

 「私をなじる者が侮辱をこうむり、おのれの恥を上着として着ますように」。
画像はhttp://www.withcare.jp/helper.htmlよりお借りしました。
 再度産経新聞掲載の曽野綾子のコラムの前半を検討します。こうあります。
 「…一方で若い世代の人口比率が減るばかりの日本では、労働力の補充のためにも、労働移民を認めなければならないという立場に追い込まれている。特に高齢者の介護のための人手を補充する労働移民には、今よりもっと資格だの語学力だのといった分野のバリアは、取り除かねばならない。つまり高齢者の面倒を見るのに、ある程度の日本語ができなければならないとか、衛生上の知識がなければならないとかいうことは全くないのだ。どの国にも、孫が祖母の面倒を見るという家族の構図はよくある。孫には衛生上の専門的な知識もない。しかし優しければそれでいいのだ。「おばあちゃん、これ食べるか?」という程度の日本語なら、語学の訓練など全く受けていない外国人の娘さんでも、2、3日で覚えられる。日本に出稼ぎに来たい、という近隣国の若い女性たちに来てもらって、介護の分野の困難を緩和することだ」。
 曽野氏のコラム内容の後半は、いわゆるアパルトヘイトに関するもので、その反響は今も続いていると思います。
 しかし上記前半部分を読んで、私には大いに引っかかるものがありました。曽野氏は介護の難しさを全く理解していないし、経験もないのでしょう。私は3年ほど母親の本格的介護をし、最期には痰吸引や点滴の管理も、訪問看護師の指導を受けながら自分でやりました。何とかこなせましたが、他のサービス利用者の終末期在宅介護では、引き受ける事になった若い娘さんなど、大抵失敗し諦めてしまいました。それほど介護は難しいのです。上の画像のように、ベッドから車椅子に移す時も、きちっと声をかけて慎重に気合を入れてやらないと、利用者さんは必要以上に恐怖感を持ちます。私の母もそうでした。しっかり抱きかかえないと、即骨折となるでしょう。
 上記青色部分ですが、海外から未熟な若い女性を呼んで、介護職に就かせるなんて、全くナンセンスです。繰り返しますが、私はヘルパー2級で多少経験があるものの、介護とは本当に緊張を強いられる高度な技術です。故に曽野氏の軽率な発言に腹を立てていました。
 それを看護師として数冊の本を書き、名前も良く知られている宮子あずさ氏が、3月2日の東京新聞「本音のコラム」で批判していました。宮子氏は上記曽野氏の文章を見て、「開いた口がふさがらなくなった」と述べた上で、「そもそも仕事として介護を提供すれば、孫の世話より高いレベルが求められる。さらに、施設から在宅への流れのなかで、介護中心の施設でも重症者の比率が上がってきた。施設はいまやみとりさえ任される。もはや曽野氏が言う『やさしければそれでいい』仕事ではありえない」と手厳しいです。
 宮子氏の発言を受けて作家・活動家の雨宮処凛氏が、3月15日の「東京新聞を読んで」というコラムで、「『よく書いてくれた!』と拍手を送った」と記していました。そして「常々、曽野氏のコラムは介護に従事する人を侮辱していると思っていた…人を傷つける無知は決して放置してはいけない」と、これまた厳しい批判でした。
 介護職は一般の仕事による収入より格段に低くなっています。今度改定で少しアップするという事になっていますが、事業者に支払われる介護報酬は、逆に引き下げられるので、とても厳しくなると思います。
 こうした大切な福祉関係の予算を削り、国防予算等を膨れさせる安倍内閣は最低です!2000年に始まった介護事業の形骸化を恐れます。母は3年の利用で天に召されましたが、当初のサービスはわりに充実していたと思っているからです。