ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

森林除染とは何かーその4

「あなたのいのちは、危険にさらされ、あなたは夜も昼もおびえて、自分が生きることさえおぼつかなくなる」(申命28:66)
 
 森林除染は、これまで未踏の地に踏み込んでゆくわけですから、様々な危険が待ち受けています。仮払い班が地面の雑草を刈っている時まず遭遇するのが「蛇」です。攻撃して来る前に仮払い機の歯で真っ二つにされてしまいます。逃げた蛇は集草班が大抵見つけますが、私は青大将の小さなものでした。幸いマムシやヤマカガシといった毒蛇には遭遇しませんでした。左上図はマムシ
 次によく発見するのが、切り倒した枝などに作っている巣から飛び出して来る「蜂」です。これはひたすら逃げるしかありません。クマバチ、アシナガバチなどによく襲われましたが、ヘルメットと作業着で助けられました。
画像はスズメバチです。http://matome.naver.jp/odai/2133793038450378301からお借りしました。
 このスズメバチがいわゆるアナフィラキシーショックを引き起こし、死亡者が出るので、社長などは口をすっぱくし、逃げるよう勧告していました。そんな事態になったら労災適用で、事業所が除染事業停止処分になってしまうからです。私が大怪我をして帰って来てから、友人のメールで5人が刺されたとありました。
 上記サイトを見ても分かりますが、他にもいろいろな種類の毒毛虫が落ちてきて、始終作業服の襟の中に入らないかと心配していなければなりませんでした。加えてアブ、ブヨ、ヤブカ、クモ、ムカデ、あらゆる毒虫に遭遇しました。
 次は仮払い機でなぎ倒された漆に似た木のかぶれ、侮れないイバラのとげです。漆やそれに似た植物を集草していると、どうしても皮手袋と袖の空いているところで接触し、みるみる手全体から足まで広がってゆきます。これで集草班の女性は三日も点滴の為に休まなければなりませんでした。本来労災なので手当位出すべきでしたが。
 集草班の誰もがイバラを集めてフレコンバッグに入れる時、手に深い傷を負っていました。私はバッグ内で高さを均す時、皮手袋のまま刺され、特に初めて両手の平をやられた時は、よく使う箇所なので、最初の指された点が次第に面へと広がり、ついにはしばらくの間、手ぬぐいを両手で絞る事が出来ないほど痛みました。
 次は重機による事故の危険性です。汚染された草木を一杯詰めたものを、人力でダンプ又はユニックに載せる事は不可能で、そこまでそしてその上に載せるまで活躍するのは、小型のユンボです。発掘をやっている時分かっていましたが、ユンボが動いている間はアームが旋回しますから、常にその範囲外にいないとなぎ倒されてしまいます。ところがフレコンバッグを吊って運び、ダンプに搭載する場合、あまりその危険性は考えなくてすみます。但し細かいところで気をつけないと、思わぬ怪我をします。フレコンバッグには二つの吊りベルトがあり、ユンボ先端のバケット部分にはワイヤーで吊り下げたかぎ状金具があり、そこにこの吊りベルトを引っ掛けるのですが、しっかりやらないと皮手袋のまま挟まれてそのまま引き上げられそうになります。運転手が気がつかなければ、指は引きちぎられるでしょう。その危険性を何度も経験しました。
 それより地盤の悪いところでのユンボの操作は危険です。フレコンバッグを吊ったまま旋回する時、その重みでユンボ自体が横転してしまいます。私の上司は相当な経験者でしたが、それでも二つの木の根の間を通れず迂回した為、軟弱な地盤のところを搬送、旋回する時突然横転しました。私は通常そのフレコンバッグを抑えながらユンボと平行して歩いてゆくのですが、今回の事故ではたまたまフレコンの後ろに居て、事故に遭いませんでしたが、もしそばにいたら最悪死んでいたかもしれません。左図は私の現場と全くよく似た状況で、ネットからお借りしました。

 またユニックで高々と吊り上げたフレコンバッグがダンプの高さまで来た時、そのブレを出来るだけ手と身体で教え、荷台の安定した位置におかなければなりませんが、荷台のあおりの部分と迫って来るフレコンバッグの間に右手首を挟み、あやうく右手首が潰れるところでした。またフレコンバッグが身近に迫ってきた時、振り子のように相当揺れますから、気をつけないと弾き飛ばされ、ダンプから落下し大怪我をします。上の上司もリモコン操作中飛ばされそうになりました。

 最後に私が重機として初めてて手がけた破砕機があります。これは右側にある前進・ニュートラル・後退のレバーと左右旋回のレバーが一緒になり、前進・後退する時、安全を確かめながら自走させてゆきます。手前の挿し口から竹の太く長いものや、大きな雑木などを奥にある歯で粉砕し、それをチップ状にして、右の管からフレコンバッグをつないでそこに入れて行きます。結構重く普通のフレコンバッグとは別扱いにしています。これをいじり始めた日、長い笹のある竹を突っ込んで、制服のボタンを3個、ひきちぎられた事があります。また私も二つの木の根を避ける為、やや坂になった箇所を逆旋回させようとし、横転させてしまいました。これも破砕機後ろからの操作で、もし横で操作し横転を押えようなどという気持ちを起こしたら、その下敷きになっていたでしょう。
 以上ざっと見て来ましたが、森林除染とはかくも危険に満ち満ちたものである事がだいたい推察出来るでしょう。今飯館などで盛んに行われていますが、就業条件のよいのを頼りに安易に応募すると大変な事になります。低線量でも被曝する事を考えると、20代の若者には絶対勧められません。30〜50代あたりの屈強な人でないと長持ちしないでしょう。でも20代の若者は線量知識がない上に、それより金といった考えの人が多かったです。
 それに繰り返しますが、除染という言葉は実態がなく、iireiさんが的確に述べられたように「下草仮り」と替えるべきでしょう。勿論福島の被災者の方々には何の益ももたらしませんが、その言葉こそ真実なので、それを踏まえて帰還すべきかどうか考えてゆくべきでしょう。除染という言葉に絶対惑わされてはなりません。