ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

『資本主義の終焉と歴史の危機』(水野和夫著)を読んで私が得た諸事実

 「終わりの日には困難な時代がやって来ることをよく承知しておきなさい(テモテ第二3:1)。
 ささやかな預貯金通帳を見ながらいつもため息をつくのは、その利子がほとんど無い事です。バブルの時代には全く考えられない事でした。
 そんな疑問に答えてくれるのがこの本であって、nankaiさんのブログで紹介されていました(http://d.hatena.ne.jp/nankai/20150929)。

 nankaiさんは私の読後の意見をと要請されましたが、既にブログで完全に出し尽くされた感じでしたので、多少ダブりはありますが、私が得た事実を若干述べたいと思います。
 まず冒頭で水野氏は資本主義の終焉を告げるキーポイントとして、先進各国の国債利回りに着目し、その利子率=利潤率が極端に低下し、10〜20年も2パーセントを下回る事を指摘しています。「資本を投下し、利潤を得て資本を自己増殖させることが資本主義の基本的な性質なのですから、利潤率が極端に低いということは、すでに資本主義が資本主義として機能していないという兆候…」。目から鱗とはこの事です。
 それで米国は「地理的・物的空間」で高い利潤を得る事が出来なくなり、資本主義の延命策として「電子・金融空間」というものを考え出し、新自由主義経済体制下で、とてつもない金融資産を作り出し、金融帝国と化しました。全く新しい空間の創出なので、「空間革命」と呼ばれます。それは国境を越えて世界的に拡大しました(TPPもそう)。
 世界的拡大(グローバリゼーション)は、「中心」(米国ウオール街等)と「周辺」(発展途上国)を必須のものとしていましたが、途上国は成長し新興国に転じるので、その範疇での「周辺国」が無くなります。
 そこで拡張が必須の資本主義は、全く新しい「周辺」を作り出さなければなりません。それは何か。米国ではサブプライム層、日本では「非正規社員」、欧州では「ギリシャ等」になります。これも目から鱗
 この状況下で所得減少する中間層が没落します。それが「民主主義の基盤」を破壊してしまいます。今の安倍首相がやっているのはその事です。
 2008年のリーマン・ショックは「電子・金融空間」を大幅に縮小させました。それは金融システムを危機に陥れました。
 そうした中から金融市場に大量に資金供給を行う「量的緩和」策などが飛び出して、マネーを膨張させようとしますが、それは今や富裕層に恩恵をもたらすだけで、そのバブル生成は必ず弾けます。するとその穴埋めをし、再び成長をもたらす為に、過剰な金融緩和を実施します。そしてまたもやそれが弾けというように、生成と崩壊を繰り返すようになりました。水野氏はそれを「バブル清算型資本主義」という造語で示しています。
 「ゼロ金利、ゼロ成長、ゼロインフレ」という状態では、「資本の自己増殖や利潤の極大化といった概念」は無効となるので、「もはや近代資本主義が成立する余地はありません」。資本主義の終焉が近づいています。
 それなのにアベノミクスでは尚「成長」を求める悪あがきをしています。こんな政策は愚の骨頂です。没落する中間層、そして貧困層の怒りは頂点に達しているのではないですか。行き着く先はマルクスの言う階級闘争なのか…。
 水野氏は自らを「変人」と呼んでいますが、「『変人』には資本主義終焉を告げる鐘の音がはっきりと聞こえています」と明確に述べ、この本を閉じています。
 文にミスがあるかもしれませんがご勘弁のほどを。こんなわくわくするような本は近頃珍しく、私もnankaiさんと同じように一気に読んでしまいました。