ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

フクイチの作業で白血病が初めて労災認定

 「私のいのちをあらゆる苦難から救い出してくださった【主】は生きておられる」(列王第一1:29)。
 福島第一原発で作業している人々が、それ以外の地域の除染作業に従事している人々より遥かに高い線量のもとに置かれているのに、厚生労働省や東電はこれまで労災認定など全く考慮して来ませんでした。
 しかし10月21日の東京新聞などを見ますと、原発事故後10ヶ月ほど福島第一以外の原発で作業し、残りの1年1ヶ月間、福島第一原発で従事していた男性が、退職後白血病にかかり、富岡労働基準監督所に労災認定を申請して、初めて受理されました。この男性の福島第一原発での累積年間被ばく量は15.7ミリシーベルトだったそうです。
 男性は北九州市に住み、14年1月に急性骨髄性白血病と診断され、現在通院治療中との事です。医療費と休業補償が出ます。
 白血病の労災が認められるには、年間5ミリシーベルト以上被ばくし、作業開始から発症まで1年以上ある事が基準だそうです。厚生労働省によれば、現在福島原発事故の作業での労災申請は、11件あるそうです(*21日の東京新聞記事は間違い、社説で正確に示されています)。そのうち7件で労災が認められず、3件が調査中なので、この男性が初めてになります。
 それに対する厚生労働省のコメントは、「行政上の判断で、科学的に被ばくと健康影響の因果関係を証明したわけではない」とありました。
 東電のコメントは、「作業員の労災申請や認定状況について当社はコメントする立場にない。今後も引き続き、被ばく管理を徹底してゆく」とあります。
 東電の纏めでは「事故発生からこれまで作業に関わった人は約4万5千人いる」そうで、累積の被ばく線量は平均約12ミリシーベルト。このうち50パーセントに近い約2万1000人が、年5ミリシーベルトを超えていて、もし発病すれば労災認定になる可能性があるそうです。作業員たちが安堵したのは容易に想像出来ます。
 しかし白血病以外の胃、食道、結腸などの固形癌では、厚生労働省は労災認定の為には、年間被ばく線量100ミリシーベルト以上、しかも発症までの期間は5年以上と、極めて厳しい基準を課しています。
 ところで以前私が中西提案で触れた一般避難者の帰還基準年間5ミリシーベルトですが、福島全体を見ると、除染をしようとしまいと、その数値を超える所はたくさんある筈です。
 今回の白血病基準年5パーセントを越えた場合の認定は、こうした福島内外の人々にも必ず波紋を投げかけていると思っています。
 翻って福島第一原発以外の場での労災認定はどうでしょうか?そこでは多くの事業所が、現在飯館など線量の高い地域で除染作業を行っています。

 私の場合一般健康診断だけでしたが、一緒に病院に行った作業員は電離放射線健康診断も受けていました。これは半年毎に実施される事になっていますが、主として白血球数などを調べるものです。これも年間5ミリシーベルトの被ばくが目安ですが、それ以下では医師は白血球数、赤血球数、白内障、皮膚の症状など、一部検査を省略出来る事になっています。でも例えば白血球数に異常があり、白血病が疑われても、医師が事業者に報告しない事もあり得ますし、事業者がその事実をもみ消す事だってあり得ると考えます。なぜなら今回のような労災認定という事になると、相当の事業所が作業中止に追い込まれ、事業閉鎖になる事もあるからです。左画像は私が一般健康診断を受けた郡山の病院。
 だから私の事業所の社長は、いつも口を酸っぱくして労災認定になるような事故を起こさないよう言っていました。でも作業のノルマはきついですから、放射線被ばく以外でも小さな事故は多発します。以前触れた事がありますが、森林の除染は極めて危険で、蜂や蛇その他の害虫が出没しますし、漆やそれに似た広範にかぶれる草木、ひどい痛みを伴うイバラの刺も存在します。或る女性はこのうちの漆に似た草木に触れて全身かぶれましたが、その治療に3日を要しました。それなど労災対象だと思いますが、あくまで自己責任、事業所は通院費用も出しませんでした。また被害者が認定を受けようとすれば、全力をあげて阻止しようとするでしょう。事業所が潰れては、他の作業員も路頭に迷う事になるからです。
 かくて厚生労働省、東電、各事業所は三位一体の形で、作業員を使い捨てにします。人間のいのちなど毫も考慮しません。今後廃炉作業でその担い手がほとんど居なくなる事も、十分考えられます。
 作業員の被ばくに関して、手厚い擁護がされないと、とんでも無い事になります。喫緊事です。