ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

東大話法安富教授の意外な面

 「私はこのむなしい人生において、すべての事を見てきた。正しい人が正しいのに滅び、悪者が悪いのに長生きすることがある」(伝道7:15)。
 安富歩(あゆむ)東大教授はその著書『原発危機と「東大話法」』で、初めて東大話法の特徴をあぶりだした人として、一躍有名になりました。
 上野千鶴子氏と同じく京大を出て東大教授になりました。それで3・11原発事故後原子力ムラを構成する東大を主体とした学者・官僚・政治家・マスコミなどを向こうに回し、彼らの行動の本質を突きました。
 東大話法の一部をウイキで見ると、「常に自らを傍観者の立場に置き、自分の論理の欠点は巧みにごまかしつつ、論争相手の弱点を徹底的に攻撃することで、明らかに間違った主張や学説をあたかも正しいものであるかのようにして、その主張を通す論争の技法であり、それを支える思考方法というものである」。東京新聞の「本音のコラム」で法政大学の竹田茂夫教授が言っていましたが、「原子力ムラの面々は、われわれと同じ小さな個人」です。しかし寄り合わされると決定的に重大な犯罪を生み出します。その源を暴露した安富教授の業績は、幾ら強調してもし過ぎる事はないでしょう。しかしです。
画像はhttp://s-bellkochan.com/5033.htmlからお借りしました。
 最近あっと言わせたのは、安富教授が女装(教授の言葉では「女性装」)して登場した事です。そこに何があったのかはよくわかりませんが、近著『生きる技法』を読むと、何となく理解出来ます。何となくです。うまく表現できませんが。さっそうとした東大教授に似合わない意外な側面が、この本にはあからさまに書かれています。
 本は「〜について」という項目が8つあります。何となく三木清の『人生論』に似た本です。
 その中で思った事を少し取り上げてみたいと思います。
1「自立について」…「自立とは多くの人に依存することである」。その通りですね。人は決して一人では生きてゆけません。この項で意外だったのが、京大を出て東大教授になり、賞も得て結婚し、子どもも二人いたのに、全く満ち足りた生活ではなく、いつも自殺を考えていた事でした。全ての願望を達成したあと、目標を失い生きる意欲を失いました。その頃配偶者や両親との間に齟齬が生じ、彼らと離れて自立したのですが、そこで全く新しい関係が生じ、1の命題に達したというわけです。
2「友だちについて」…「友だちとは、互いに人間として尊重しあう関係にある人のことである」。その通りですが、ここで光ったのは、「誰とでも仲良くしようとすると、誰とも仲良くできない」という思考です。だから「対立をおそれてはいけない」のです。
3「愛について」…ここでは「自愛」と「自己愛」が区別されています。後者がいわゆるナルシシズムです。そして教授は「自己愛とは、自己嫌悪を埋め合わせるために偽装することである」と言っています。教授は前者を肯定しているのですが、私には教授の女性装は否定すべき後者に似ているような気がしてなりません。なぜそうするようになったのかは、ネットで各自が調べ考えてみて下さい。
4「貨幣について」…これは教授の専門分野ですが、ここでは「貨幣は他人との信頼関係を作り出すために使うべき」と言っています。これは良い事ですね。
5「自由について」…ここには教授の慧眼が示されています。即ち人生には無数の選択肢があるので、「正しい選択をすることなど、原理的に不可能である」。だから「選択という決定自体が危険」なのです。その為或る選択を迫られたら遁走するべきであるし、「どれかを選択したら、別の選択肢はもう閉じられている、と考えるのは誤りである」。受験生は傾聴すべきでしょうね。そして「あなたの人生の目的は、ほかの誰とも違っている」。これは遺伝学でいう「一塩基多型」という事でしょう。
6「夢の実現について」…夢を見ないで何かを手に入れることは、極めて困難である」。これは飛翔しようとする私への勧めかも。そして「〜したくない」という否定形の夢を見ると、実現してしまう事が多々あります。恐ろしい事です。それゆえ「夢は肯定形のイメージでしか表現できない」し、「その夢の実現のための過程に意味がある」のです。これは教授の実体験でしょう。それが人生の糧となり、実現してしまった事はすぐ消えてむなしくなります。最後に「うぬぼれ屋とは、ロクデナシであることを受け入れられないロクデナシである」。これは東大話法にも通じる事です。
7「自己嫌悪について」…「自己嫌悪の原因について考えるには、友だちに助けてもらう必要がある」。大切な事です。それによって乗り越える事が可能になるからです。
8「成長について」…「人は、成長すると、安心する」「人は、衰退すると、不安になる」。
 アフォリズムに満ちた、なかなか面白い、考えさせられる本でした。
*引っ越しでNTT工事がある為、13日過ぎまでネットが使えなくなります。皆様のブログを閲覧出来なくてすみません。