ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

3・11から5年目を教会で迎えて

 「こうして彼らはエリムに着いた。そこには、十二の水の泉と七十本のなつめやしの木があった。そこで、彼らはその水のほとりに宿営した」(出エジプト15:27)
 *これは福島第一聖書バプテスト教会の新会堂で、5年目の3・11記念集会が行われた際の、佐藤彰牧師のメッセージの箇所であり、そこがJR常磐線泉駅にある事とも関連させ「私たちのエリム」という題がつけられました。エジプトを出たイスラエルの民が宿営した場所で、十二の泉があり、七十本のなつめやしがあったオアシスのような所でした。

 2016年3月11日午後2時から行われた集会は、まず佐藤牧師の祈りから始まりました。そして聖歌「遠き国や」を皆で賛美した後、教会員の作った防災訓練関係のビデオで、5年前の地震津波原発事故の模様がリアルに再現されました。私は当時家にテレビが無く、このビデオは改めて自然災害、そして原発の人災の恐ろしさを見せ付けました。そこには教会員の証も含まれていました。
 それから出席しておられたK夫妻の証を筆頭に、会員の証が続きました。「疎開先」での小学校の卒業式の光景もスクリーンに映し出されました。
 そうしてあの午後2時46分がやって来て、全員で黙祷し、牧師が改めて祈りました。
 次に教会員Oさんによるピアノを弾きながらの特別賛美「遥か空の上、私の避けどころ、天の果てを目指して行く…」。
 最後にメインのメッセージを牧師が取り次ぎました。「私たちのエリム」、それは福島第一聖書バプテスト教会という「翼の教会」です。旧大野村で米国人宣教師によって開拓伝道が始まり、1982年に佐藤牧師が就任してから4つのチャペルが確立しましたが(沿革はウイキでご覧下さい https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E5%B3%B6%E7%AC%AC%E4%B8%80%E8%81%96%E6%9B%B8%E3%83%90%E3%83%97%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E6%95%99%E4%BC%9A)、中心となる大野チャペルの改築から僅か2年少しで、東日本大震災が生じ、会堂は立ち入り禁止区域となり、会員たち数十名が一団となって流浪の旅に出る事を余儀なくされました。その過酷な試練は佐藤牧師の3部作などに詳しく出ています(いのちのことば社から出ています)。

 そして新しいいわきの翼の教会は、あたかも鷲の翼のような形をしています。その翼にはぬくもりがあり、その向かう方向は原発中心から5キロにある大野チャペルです。そこに向かって羽ばたこうとしているかのようです。しかしこのいわき市も既に宣教師が、ここにも教会を建てるというビジョンを持っていました。従って佐藤牧師は、今後も様々な試練があるにしても、ここを拠点に主を待ち望み、新たな一歩を踏み出そうと、一人ひとりの会員を励ましているかのようでした(「しかし、【主】を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。走ってもたゆまず、歩いても疲れない」=イザヤ40:31)。
 帰還困難区域となっている大熊町、そこには高い放射線量の為、二度と帰れないかも知れません。会員に復興なんていう実感がある筈がありません。証を聞きながらすすり泣く方々が多く見受けられました。しかしです。信徒はパウロと共に「悲しんでいるようでも、いつも喜んでおり、貧しいようでも、多くの人を富ませ、何も持たないようでも、すべてのものを持っています」(コリント第二6:10)というみことばの証で、逆に私たちを励ましてくれているのかも知れません。