ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

革新的研究開発推進プログラム(略称インパクト)と福島浜通り

 「同じように、良い行いは、だれの目にも明らかですが、そうでない場合でも、いつまでも隠れたままでいることはありません』(テモテ第一5:25)。
 池内了氏の『科学者と戦争』を読んだ後、気になった事があって、これはその続編です。
 まず題にある革新的研究開発推進プログラムですが、http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/about-kakushin.htmlにアクセスすると、そのページに革新的研究開発推進プログラムの概要について(PDF形式:110KB)というリンクが張られており(http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/kakushintekikenkyu/gaiyo.pdf)、クリックして閲覧すると、その目的として「実現すれば産業や社会のあり方に大きな変革をもたらす革新的な科学技術イノベーションの創出」を目指し、ハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発を推進すると述べられています。
 注目すべきは、その次のプログラムの特徴の項です。「ハイリスク研究による非連続的イノベーションの創出において成功を収めた米国DARPA(国防高等研究開発局)の仕組みを参考」とあります。このDARPAの仕組みが、池内氏の言う「民生研究を行なっている科学者に資金援助(研究費提供)して、軍事研究に誘い込むやり方」なのです。しかし難解な文章です。非連続的イノベーションとは一体何?
 革新的研究開発推進プログラムは、2014年内閣府に設置された総合科学技術・イノベーション会議(議長は内閣総理大臣)が最初に手掛けたものです。それがDARPA方式を踏襲するわけですから、国を挙げてまず民生技術の開発目的で発足させ、その後軍事技術に転用可能なものを選んで軍事用に推進するつもりです。その例証としてhttp://www.jst.go.jp/impact/intro.htmlでは、動画において総合科学技術・イノベーション会議有識者議員の原山優子氏がDARPAに言及しています。露骨に軍事技術転用などとは言いませんが。

 一方福島については、政府が出した「経済財政運営と改革の基本方針2014」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2014/2014_basicpolicies.pdf)の11ページ注15に、「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」とあって、初めてイノベーション・コーストという言葉が出て来ます。それは政府の重要な施策となっています。
 それが革新的研究開発推進プログラムとどう関係してくるかと言いますと、まずイノベーションという言葉で共通しており(笑)、次に上記動画で原山氏に続き12名のプログラム・マネージャーが登場しますが、彼らの研究テーマの中にロボット(遠隔操作による)や、高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化の技術など、福島原発廃炉技術と密接に関わっているものがあるからです。おそらく楢葉遠隔技術開発センターや大熊分析・研究センターにも、そうした研究者たちが出向して来ると推察しています。けれどもそうした人事等々は、今後秘密のベールの中で行われると思いますから、実証は不可能です。全てが民生活用のベールの中で行われるでしょう。
 そのイノベーション・コーストに向けて県では、隣県の諸大学からから高い技術力を持った学生を確保すべく動き出しています。福島を何とかしたいという高い倫理意識を持った地元大学生は不要なのでしょう。
 小学生・中学生・高校生から成るふくしま復興大使の一人は、「放射線量が高く人間が行くことができない場所での作業に遠隔操作ロボットの活用を目指すなどさまざまな取り組みが進められていることが分かった。原発廃炉だけでなく介護など他の分野に応用できる技術になるではないか」(福島民報8月2日)と言っています。それは正しいのですが、彼ら若者そして私たち大人も、それらが内閣府から出ている事で、究極的には軍事技術に結びつけるという意図など、普通想像出来ないでしょう。
 英語のカタカナ記述に溢れた上記諸文書を見ると、「相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す」東大話法の持ち主である研究者たちの顔が浮かびます。
 彼らが福島の浜通りを闊歩するようになると、一般の福島県人は原発事故に続き、二度目の疎外感を味わう事になるでしょう。「産学連携拠点や農業分野など他の事業については『議論が進んでいない』として見送られた』と福島民報にありました。農業軽視です。