福島第一原発事故で放射線被ばくした元作業員の白血病労災認定2例目
「わたしの目は彼らのすべての行いを見ているからだ。彼らはわたしの前から隠れることはできない。また、彼らの咎もわたしの目の前から隠されはしない」(エレミヤ16:17)
画像はネットより借用。
2016年11月18日の福島民報には、福島第一原発事故により放射線被ばくした事例について、2つの記事がありました。
1つは国連放射線影響科学委員会によるもので、福島第一原発事故の被ばく影響に関する追跡調査の結果を説明しました。
それによりますと、福島第一原発による被ばく量は、チェルノブイリと比較すると、予防的措置を講じた為、「極めて低い」と結論付け、今後も「がんの発生率の明らかな増加は考えられない」との見解を示しました。
一方子どもの甲状腺がんについては、発生状況がチェルノブイリとは大きく異なり、「網羅的で高精度の検査により、通常は発見できない小さながんが見つかり、有病率が上昇する傾向を示している」と指摘しました。
これは福島県立医大や相馬中央病院、南相馬市立総合病院等がずっと唱えて来た見解に沿ったものです。主流派のデータであり、そうでない少数派のデータが出揃っているわけではないので、素人の私が何か言える段階ではありません。
2つ目は1つ目の総括的なものとは異なり、歴然とした白血病というがんの発生に関わるものです。福島第一、第二原発(後に玄海原発)の元作業員で、放射線被ばくにより白血病を発症しだ40代男性の事です。実はこの事故では初めて労災と認定されました。2015年10月の事です。それを受けて2016年11月22日、東京電力へ損害賠償を求め提訴する事になった、というのが記事の内容です。
この労災認定は極めて困難です。被ばく開始から1年を超えた後に発生した白血病であること、年間の被ばく線量が5ミリシーベルト(放射線管理杭区の基準)以上であることなどが主要な条件です。それで福島原発事故では、これまでこの男性を含め、たった2例しか認定されていません。以下に2例纏めておきます。
労災認定 病名 累積被ばく 年齢性別
2015年10月 白血病 19.8mSv 40代男性 2016年11月22日東電提訴
2016年 8月 白血病 54.4mSv 50代男性
この40代男性の履歴を詳しく見ると、2011年10月〜2013年12月、福島第一、第二原発と玄海原発で溶接作業を行い、少なくも累積19・8ミリシーベルト被ばくし、14年1月白血病と診断されました。第一原発では15.7ミリシーベルトだったそうです。
2例目の50代男性は、福島第一原発で2011年4月〜2015年1月、主として瓦礫撤去などの作業を行い、少なくも累積54.4ミリシーベルト被ばくし、15年1月白血病と診断されました。この男性の詳細は分かりませんが、今年8月の時点では通院治療中で、おそらく今後東電を訴えるものと思われます。3年9ヶ月で54.4ミリシーベルトはかなりの量です。
ちなみに2011年3月の事故以後から15年8月までに、累積被ばく量が5ミリシーベルト以上だった作業員は2万1千人を超えているそうです。
一般市民の場合は累積被ばく量が5ミリシーベルト以上でも、労災認定される制度は無い、とネットにありました。
労災は労働基準監督署の管轄ですが、厚生労働省の出先機関とウイキにありました。とすれば実質国が第一原発事故での放射線被ばくと、その作業員の白血病発症との間に明確な因果関係を認めた事を、「2例もあるのか」「たった2例だけか」と受け取るのか、うかつに看過出来ない問題だと考えます。
「彼らは、わたしの民の傷を手軽にいやし、平安がないのに、『平安だ、平安だ』と言っている」(エレミヤ6:14)。