ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

環境にやさしい瓦

 「陶器師は、粘土で制作中の器を自分の手でこわし、再びそれを陶器師自身の気に入ったほかの器に作り替えた」(エレミヤ18:4)
 2016年12月13日の福島民報に、私の通う教会のすぐ北に住む屋根材などの製作販売会社社長根本氏が、「瓦について」という題で投稿していました。民報サロンで毎日掲載されている楽しみのコラムの一つです。

 福島に引っ越して来て、唯一修理してもらったのが、台所の屋根です。3・11で完全にその箇所が崩れており、全くの素人である私は、最初から屋根に上るのは危険と考えた為です。
 それでそこはもう雨水漏れはしませんが、隠れた瑕疵と言うべきか、私の寝る部屋の天井と、隣の6畳間の天井で、数ヶ月後ぽつんぽつんと雨水が漏れ落ちる音が聴こえるようになりました。それは夏に来た最初の台風の時ピークとなりました。横風で屋根瓦の壊れた所から水が浸入しました。写真左頂部に破損。
 これではいけないと、隣の人と屋根に初めて上り(隣の人は一段高い所に住んでいるので、そこから簡単に我が家の屋根に移動できます)、瓦の破損状況を見る事が出来ました。震災から5年以上経て、その瓦の箇所は原形を留めず壊れ、素材の粘土土が広がっていて、その隙間から雨水が入った事が分かりました。
 阪神に居た頃大震災を経験していますが、その時は被害が大きかった神戸市東灘区の古い瓦屋根の2階部分が押し潰され、1階に居たお年寄りなどが圧死したというニュースを耳にしていました。重い瓦屋根というマイナスのイメージを以来ずっと持っており、都会のスレート屋根のほうが優れていると、勝手に考えていました。
 しかし根本社長による瓦の雑学を学び、大いに考えを変えました。瓦は粘土で形成乾燥させた後、窯で高温焼成したものです。土器ばかり考えていましたが、そうだ瓦もあったのだと、遅まきながら気づきました。根本氏によれば、瓦は「直射日光を吸収し、耐熱性と断熱性に富み、寒さに強く湿度までコントロールする優れものです。夏は涼しく、冬は暖かく過ごせるので冷暖房費用も節約でき、経済的な屋根材といえます」との事でした。しかも「地震や台風に強い工事工法も確立され」ており、その施工技術は世界でもトップレベにあ」るそうです。

 そして瓦はリサイクルにも適し、環境にも優しい建築資材であるので、近年様々な用途に用いられています。「日本の気候風土に適した屋根材」と根本氏が胸を張るのも、むべなるかなです。ですから周囲の家々には震災で壊れた瓦も庭にとってあります。それは屋根だけでなくいろいろな所で使えるからです。例えば私の庭では、おそらく花壇の仕切りとして瓦が土の中に埋められていました(写真右)。また土嚢が無ければ、ビニールシートの上に置いておくだけで、重石としても利用出来ます。粉々になった瓦は土に戻し、畑の土と混ぜる事も出来ます。
 一方スレート屋根もついでに勉強しました。特に日本で一般的なのは化粧スレートで(https://yane-connect.com/variety/yane-sozai/straight/)、セメントと繊維材料が用いられています。それは瓦に比べると軽くて運びやすく、費用も安くなります。しかし劣化は避けられないので、色が褪せたら再塗装する事も必要でしょう。でもどのサイトを見ても、再塗装でスレート屋根の寿命が延びる事はないので(だいたい20年位、瓦は100年以上)、注意が必要だとありました。成分からするとリサイクルはちょっと難しそうです。スレート材としてのアスベストが日本で禁止されたのは、僅か6年前の事です。
 我が家を建てた大工は、茨城の六角堂(岡倉天心設計)を実際建てた小倉源蔵という人の息子さんだと聴いています。もし事実なら、3・11で屋根の一部が破損しても、その躯体が60年近く経った現在でもしっかりしているのは納得です。