ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

免疫系のIgE、アレルギーと聖書

 今年4月に、長らく重度の障害でリハビリを続けていて、さらに前立腺がんが見つかり、結局それがもとで亡くなった世界的免疫学者多田富雄先生の『免疫・「自己」と「非自己」の科学』という本を読みました。2001年発行の本です。以前『免疫の意味論』を読んでいて、やや難しいと思っていましたが、今回の本は、著者のあとがきにもありますように、難解な免疫についてわかりやすく書かれていました。
 ハテヘイは臓器移植に関連して、「非自己」である他人の臓器を免疫系を総動員して全面的に拒絶しようとする「自己」の事を取り上げ、移植拒否の姿勢を打ち出した事がありますが、今回この本を読みながら改めてその事を確認しました。
 しかし今回取り上げてみたいのは、免疫グロブリンE=IgEの事です。はてなキーワードによると「免疫グロブリンとは、抗原と結合する抗体として働くタンパク質の総称であり、複数の分子種からなる。抗原結合領域(V領域)と、あまり変異のない定常領域(C領域)からなる。定常領域の構造のちがいによりIgG、IgA、IgM、IgD、IgEの5種類のクラスに分類される」とあります。
 この5種類のうち免疫グロブリンEが、いわゆるアレルギーと関係してきます。そしてそれは1966年に日本人の科学者石坂公成氏によって発見されており、その時の実験に寄与したのが多田先生でした。
 この本によりますと、IgEは皮下や気管支粘膜下などの組織中に広く分布する肥満細胞などの膜のFc受容体という部分で結合しています。ここにアレルギーを起こす花粉などの抗原がやって来ると、ただちに抗原抗体反応が起こり、その信号が細胞内に伝わり、アレルギーを起こす伝達物質(ヒスタミンなど)が分泌され、気管支などに働いて花粉症などを発症するという事です。

 そして多田先生はなぜ戦後日本でこうしたアレルギーが急増したかを記しています。「戦後日本では…植生を無視した杉の植林がさかんに行なわれた。その過ぎは、青年期に達して大量の花粉をまき散らす。また住宅が洋式化され、湿潤な気候なのに部屋が密閉され、カーペットを敷いた洋風の生活様式が広がった。そこにはアレルゲン(アレルギーの原因となる抗原物質)を含むダニやカビが発生する…」。
 つまり人間による勝手な植生の変更や、日本の風土に合わない洋風家屋を増やした結果が、アレルギー増加に繋がったという事です。
 そのようにとりわけ人々を広範に苦しめている花粉症や洋風家屋での皮膚炎症、蜂刺されによるアナフィラキシーショックなどは、始めからそうだったのではありませんでした。
 創造主である神はこのIgEを含む免疫系を人間の中に組み込んで造られました。
 創造論サイトCMIでは(http://creation.com/why-did-god-create-ige)その事を詳しく述べています。ドン・バッテン博士によりますと、免疫系のうちのIgEは、寄生動植物から危険をかわすために、重要な役割を果たしている防御システムなのです。
 ところが私たちは今堕落した神から背いている世界に住んでいますから、「非常によかった」(創世1:31)神の全被造物もその影響を受けています。
 勿論効率を追求する人間もその一員であり、本来私たちのからだに馴染まない不自然な生活様式を工業化社会の中で生み出して来たわけです。従って急激に若い人々の間で広がっているアレルギーはその延長線上にあります。
 その事を考え、私たちは度を越えた潔癖主義を捨て、杉ではなく身体にやさしい樹木を植え、昔からの日本の湿潤な気候に合った建物の追求などを心がけてゆくべきではないでしょうか。でも創造主は「地上に人の悪が増大し、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になった」(創世6:5)方であり、今も基本的に何も変わっていません。結局聖書を主体とした生活様式に変わらない限り、人々は苦しみのうちに終末を迎える事になるでしょう。