ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

聖書にある紫布の商人と貝ムラサキという染料についての新知見

 以前このブログで聖書にある「紫布の商人」の事に触れた事があります。
 今度読んだ斉藤勝裕氏の『知っておきたい有機化合物の働き』では、貝ムラサキという染料について、さらに詳しい解説が載っていました。それを紹介したいと思います。
 貝ムラサキは巻貝(アカニシ等)にある鰓下腺から採れる成分を屋外に干し、紫外線を当てて紫色に変え、それを染料としたものです。

 写真の→が鰓下腺です。http://blog.karatsu-hama.net/?day=20100112から拝借しました。この一個の貝から採れる量は僅かなので、一枚の衣服を染める為には、多くの貝が必要になり、労費がかさむのので非常に高価なものとなるそうです。ですから古代ローマでは皇帝だけ着る事が出来ました。聖書でも紫の衣が出て来ますが、それを着れるのはリッチな人々に限られていました。主イエスも十字架刑の執行までの間この紫の衣を着せられました。
 ところでこの染料ですが、インジゴという物質に臭素が2個ついたものです。見づらい構造図ですが、左右にあるのが臭素
 
 斉藤氏の本ではこの染料が比較的大量に採れる巻貝として「アメフラシ」を例に挙げています。その軟体部分が巨大なので、捕獲したものを適当な容器に投げつけると、結構な量の貝ムラサキを吐き出します。それを又海に戻し、2〜3ヶ月後に再度捕獲し、同じ動作を繰り返して必要量を確保するそうです。
 上記したブログには、この貝ムラサキから作った布が何とあの有名な吉野ヶ里遺跡佐賀県弥生時代遺跡)でも見つかった事を記しています。きっと聖書の商人が技術と共に彼らに伝えたに違いありません。
 「テアテラ市の紫布の商人で、神を敬う、ルデヤという女が聞いていたが、主は彼女の心を開いて、パウロの語る事に心を留めるようにされた」(使徒16:14)。
 ここに登場するルデヤも紫布の商人でしたから、売る対象は富裕な人々だったでしょう。従って彼女もリッチだったに違いありません。でも主は彼女の心を開いて、信仰の賜物を与えて下さったのです。おそらく彼女は主の弟子としてその財産の多くを割き、自宅を「家の教会」として開放したのではないかと思います。