縄文杉とレバノン杉
鹿児島県の屋久島には特別天然記念物であり、世界遺産にもなっている縄文杉があります。
朝日新聞に載ったこの杉の根元の写真を見ますと、その太さに圧倒されてしまいます。そしてウイキペディアによりますと、この杉を見学するには(現在は立ち入り禁止とか)、屋久島から歩いて8〜10時間もかかるそうです。
世界遺産になる前にそこを訪れた哲学者梅原猛は、「七千の齢に耐えし屋久杉は天に連なり身じろぎもせず」という短歌を詠んでいます。新聞の記事によれば、「キリストより早く現れ、流転の世界を見てきたことに違いはない」とあります。
しかし実際には放射性炭素年代測定法によると、樹齢は2千〜3千年となっているようです。
ところでこの縄文杉という名の由来は、やはり縄文時代からの生き残りだからという事だそうですから、従来の縄文時代の年代表では紀元前1千年頃は縄文時代晩期という事になります。しかしそれは最近の放射性炭素年代測定法によるものとは違って来ます。なぜならその頃は次の弥生時代初期に相当するという学説が定着しつつあるからです。
しかしそれはあくまで仮説に過ぎません。創造論者たちの考え方は、この放射性炭素年代測定法そのものが、試料の年代を古くしてしまう傾向にあると主張しているからです。
それはこの放射性炭素C14を生み出す為の宇宙線が、その時々の状況によって異なり、一定ではないからです。今ではそれは創造論者ではなくても認めているところです。それで年輪のパターンを分析して決定する年輪年代学的方法で補正しています。
しかしそれとて、気候が激しく変動した時があれば(ノアの洪水が典型例)、正確に決める事が出来ません。
そうした事はとにかく、屋久島の見事な杉は、レバノンに豊富な杉とも対比出来るでしょう。現在のレバノンでは、かつてほど多く杉が密集しているわけではなさそうですが、それでも立派な杉が見られます。
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このレバノン杉は聖書でもよく出て来ます。
「…私は山々の頂に、レバノンの奥深く上って行った。そのそびえる杉の木と美しいもみの木を切り倒し、私はその果ての宿り場、木の茂った園にまではいって行った」(列王第二19:23)。
ここで私とはアッシリヤの王の事ですが、彼がレバノンの山奥まで上った行ったところ、そびえる杉の木と美しいもみの木を見つけ、それを切り倒したとあります。そのようにレバノン杉は山においてそびえ立っていた事が分かります。
そしてこの杉材は神殿建造において、天井や床などの板として使用されました。
「ついで、彼は神殿の奥の部分二十キュビトを、床から天井の壁に至るまで、杉の板で張った。このようにして、彼は神殿に内堂、すなわち、至聖所を造り上げた。」(列王第一6:16)。
至聖所は神殿の最も聖なる所、神の臨在される場でした。そこでレバノン杉が用いられた事は、それがいかに優れた高級な建築材であったかという点を私たちに示してくれます。