ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

船に働く浮力とメタセンタ

 浮力という言葉は中学で始めて覚えたものですが、その後物理学とあまり付き合いがなく、すっかり忘れていました。
 今度図書館で池田良穂著『船の科学』を読み、最新の船の事や複雑な風による波の事、そして船が横倒しになる時の原理など、いろいろ学ぶ事が出来ました。 私に関心があった事の第一は、船が転覆する時の力学で、この本の最初の方で触れられています。
 船は風雨を受けて横転、沈没する場合が最も多いのですが、それを考えて設計者はちゃんと計算に入れ、傾いても自然に元に戻るよう造っています。この元に戻す力を生み出しているのが「復力」で、横に傾いた時の横復原力(おうふくげんりょく)が、最も重要になるそうです。この力が浮力の作用で生まれているとの事で、しばらく著者の言葉を引用します。
 「船が少し右に傾いたら、船の右側が左側より大きく沈む。すると右側の浮力が左側より大きくなって、上向きの浮力と下向きの重力の作用線がずれ、これが船を水平に戻そうとする方向への回転力を生む。この回転力が復原力の正体だ」。
 そしてこの物理の作用を図解しながら、池田氏は「メタセンタ」という大切な言葉を出しています。
 「浮力の作用線と船体の中心線の交点をメタセンタ(M)とよぶ。メタセンタと重心(G)との距離をメタセンタ高さ(GM)といって…MがGより高い(GMが正の)時は…船が傾くと復原力が働く。しかしMがGより低い(GMが負の)時は、傾きを増す方向に回転力が生じて、場合によっては転覆してしまう」。その図を別のサイトから拝借し、ハテヘイが少し変えました。

 さらにこの本の後半に、「船に襲いかかる風と波」と言う項があります。この風(風速)と波高については、「ビューフォート風力階級」という表が出来ています。例えば階級が7の強風の場合、風速は13.9〜17.1(m/s)で、波高は4メートル(最大5.5メ−トル)となります。
 ルカ8:23には、主イエスとその弟子たちが舟でガリラヤ湖の反対側に渡ろうとしていた時、突如突風が湖に吹き降ろして来た様子が記述されています。
 「舟で渡っている間にイエスはぐっすり眠ってしまわれた。ところが突風が湖に吹きおろして来たので、弟子たちは水をかぶって危険になった」(ルカ8:23)。
 この時の突風が風速にしてどれほどか良く分かりませんが、南を除きこの湖は険しい崖と、急峻な山々に囲まれていて、そこから突然吹き降ろして来るので、相当な風速にはなったでしょう。舟は水を被り、GMが負となって今にも沈没しそうになりました。
 弟子たちは主、救い主イエスに助けを求めて叫びました。もし階級7の強風であれば、波の高さ4メートル、普段水泳の得意だった弟子の漁師たちでも、溺死するところでした。しかしイエスは風と波を「叱りつけ」られ、ただちに「なぎ」となって皆無事に対岸に着くことが出来ました。
 イエスに信頼する人は人生の風雨にもまれても、救助され何事にも動じない人生を送る事が出来ます。