ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

沖縄の伝統的な芭蕉布と聖書の布及びその譬え

 8月21日の朝日に沖縄の芭蕉布の事が紹介されていました。私は本島及び船にて伊江島(私の友人の教職者夫妻がいます)というルートで、たった一度しか行っていないので、この布の事は全く知りませんでした。もう数年も前の事ですが、伊江島ではさとうきび畑が掘り起こされてなくなり、これからタバコが栽培されるという悲しい話も聞きました。
 紹介されている芭蕉の木は、この本島の北方大宜味村でのものです。ちなみにネットで調べますと、バショウ科には、果実を野菜や果物として利用するバナナや、繊維作物として栽培されるバショウが含まれるとありました。あのバナナと布になるバショウとが近い関係にあるとは!

 布になる芭蕉は糸芭蕉と呼ばれ、その繊維を糸にして織ったものが芭蕉布となります。写真には天に伸びる青々とした大きな葉っぱと、その下の太く整った幹及びそれをなたで切り倒したもの、そして複数の女性がそれから白い繊維を取り出す作業(うーはぎ)をしている光景が写っていました。まだ糸にする前のものですが、「どこにもない美しい布」と称されているものの原形をそこに見たような気がします。
 この芭蕉を3年目の冬に切り倒し、取り出した繊維を繋いで糸にし、それを織り上げたものが芭蕉布ですが、織るまでの工程が20以上、しかも200本の芭蕉で着尺1反にしかならないそうです。それだけ丁寧に時間をかけて作り出されるものですから、芭蕉布は国の重要無形文化財に指定されています。
それでもこの芭蕉布の衣は、琉球国王やその高官ばかりでなく、庶民も着る事を許されていたそうです。
 では聖書の時代ですと、衣の材料や着る人々についてはどうだったのでしょうか。
 まずその時代牧畜は盛んでしたから、羊やヤギなどの毛や皮から日常の衣服が作られました。特に旧約の庶民は現代では高価な羊毛の服を着ていた事が分かります。しかし最も頻繁に出て来るのは「亜麻布」です。これは概して祭司など位の高い人々の場合に、衣服の素材として用いられていました。

 「祭司は亜麻布の衣を着なさい」(レビ6:10)。この亜麻布、ヘブル語ではヴァッドとなっています。白い高級なものなのでしょう。
 しかし庶民でも自分でそれを紡ぎ出していたようです。芭蕉布のように位の高い人々だけでなく庶民も亜麻布の服を着たという事です。
 「彼女は亜麻布の着物を作って、売り、帯を作って、商人に渡す」(箴言31:24)。しかしこの場合の亜麻布はヘブル語サディーンです。辞書を引くとどちらも亜麻布である事に違いありません。ヘブル語の違いはよく分かりませんが、工程の多さや用途によって使い分けていたのかも。
 この亜麻布(リンネル)は亜麻という高さ1メートルほどのアマ科一年草の茎の繊維をほぐして糸にしたものを紡いで作ります。
 芭蕉と亜麻の事を考えて見ましたが、創造主は植物を人間の食べ物としてだけでなく、その繊維を糸にして衣を作るという意図も持っておられたわけですね。それを丹念にほぐして衣を作るという技術も、きっと神から授かった知恵によるのでしょう。そしてその製造工程の多さで値段が全然違って来る事を、茨城の結城に行って、紬を見た時実感しました。(*画像はいずれもネットから借用させて頂きました)。