ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

尾木直樹著『子ども格差』を読んで

 図書館で昨年2月発行の上記の新書を借りて読みました。
 尾木氏は教育評論家で有名な人ですが、冒頭から文部科学省が2007年より始めた全国学力・学習状況調査(通称全国学力テスト)を鋭く批判しています。
 これは全国の小中学校の最高学年(小学6年生、中学3年生)全員を対象としたもので、尾木氏によればその狙いは、小泉内閣の頃導入された新自由主義体制下での、「市場原理」に基づく教育版「競争原理」の浸透という事でしょうか。
 尾木氏はこのテストが全く問題点ばかりであると、5つの点を挙げて批判しています。1テストに時間が費やされすぎること、2調査目的が意味をなさないこと、3新しい差別を生んでいること、4全国ほとんどの県や市町村が独自のテストを実施していること、5競争すれば学力が上がるという考え方に疑問があること、と手厳しいです。
 このテスト、激しい非難を浴びて年々の手直しがされているようですが、今回東日本大震災が起こり、実施が困難となった為、5月21日の朝日新聞によると「実質中止」となる予定です。
 このテストによる調査結果は全国で公表されます。それが「微に入り細をうがっている」状況は、ウイキペディアを見れば、2007〜9年度の都道府県別平均点数などで分かります。即ちどの都道府県の平均値が高いのか、低いのか一目瞭然です。
 ですから低いとされた県などでは、得点アップの為におよそ常軌を逸した不正などが横行し、子どもたちの心が次第に病み・荒み、親たちの競争原理による経済格差から必然的に子ども格差というものが生まれています。格差を受ける側は昔と違って二度と上に這い上がれない「滑り台社会」に放り込まれ、格差の勝利者である子どもは、敗者を馬鹿呼ばわりし、いじめつつも、自ら親による勉強強制でストレスを溜め込み、ごく普通の子ども、また優秀な子どもでも、親殺しをしたり、反社会的な行為をしたりで、自分の一生を台無しにしています。尾木氏はそうした事件の数々を挙げ分析しています。
 集団的いじめで「死ね、死ね」と言われた子どもの自殺も増えていますが、こうなってくると、聖書時代主なる神が言われた事を宣べ伝えずにはいられません。人間がこの世に生を受けたのは、ひとえに神の賜物であり(「子どもたちは主の賜物」=詩127:3)、その目的は主なる神の栄光をあらわす為であり(「わたしの栄光のために、わたしがこれを創造し、これを形造り、これを造った」=イザヤ43:7)、子どもたちは本来「兄弟愛をもって心から互いに愛し合い、尊敬をもって互いに人を自分よりまさっていると思いなさい」(ローマ12:10)とある如く、互いに愛し合い・尊敬し合って生き、成長して行く事になっていました。
 しかし人間が罪を犯し堕落しこの現代に至ると、善悪を区別出来る子どもたちには、「善を行なう人はいない。ひとりもいない」=ローマ3:12)という真理が貫徹します。ですから格差などによるいじめで子どもを死に追いやった子どもは、「罪を犯した魂は必ず死ぬ」(エゼキエル18:4)とあるように、神の裁きを受けて必ず死ななければなりません。今いじめたり、いじめられたりしている子どもたちは、必ずこの事を覚えなければなりません。
 そして最後にこの神を畏敬しつつ、尾木氏が最後に述べた言葉を銘記するべきです。
 「この壊れそうな地球をいかに持続可能にするのか、知恵を絞り、世界の人々と共生し、協働できる、そのための力をしっかり身につけることです」。それこそ今日の本物の「学力」となります。