ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

米国の占拠せよ運動は瓦解するか

 2011年9月富裕な人々が集まるニューヨーク市のウオール街では、1パーセントの富裕層に怒りを持った99パーセントの人々が、ズコッティ公園に集結し、テントを張ってその場所を占拠しました。毎日新聞電子版の情報ではそれを提起したのは、カナダの非営利雑誌「アドバスターズ」の創設者兼編集長のカレ・ラースン氏であると言われています。既に7月13日ブログで呼びかけたそうです。
 その時集まったのは約1,000人だったそうですが、持続的に非暴力的な運動を繰り広げた為、その「占拠せよ」というスローガンと新たな運動が全米各地に広がりました。アリゾナ州都フェニックスでは、在米のブロガーであるマクレーン末子氏がその詳しいルポを日本にも送り届けています(http://www.newslogusa.com/?p=1452)。一ヶ月遅れで始まった抗議運動は数千人の規模に達しました。
 そして氏は彼らの間を歩いてそのの考え方や運動の中身を丹念に追っています。
 こうした運動が暴力的且つ非衛生的になれば、当局の思う壺ですから、直ぐに弾圧されるでしょう。しかしマクレーン末子氏は彼らが市庁舎前広場で単なる烏合の衆とはならないよう、「多数決型民主主義ではなく、一人でも異議があれば合意するまで話し合う」という方式で、徹底した議論を重ね、参加者の合意を得ようと努めている事を伝えています。アリゾナ州に住んでいるので、現地ルポが詳しく出来るのが強みです。これは全く新しい方式で、時間はかかるにせよ民主主義の本来あるべき姿を示したものと言えます。
 ですからその運動は各界の著名人たちの共感も呼び、富豪な投機家ジョージ・ソロス氏、ジャーナリストで「ショック・ドクトリン」のナオミ・クライン氏、ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマン教授、映画監督のマイケル・ムーア氏、そして芸術家のオノ・ヨーコ氏らが賛同者として名を連ねています。
 しかし富裕層や共和党の政治家たちも利口です。彼らにはカネも権力もある為、ひたすら静観し運動が自滅するのを待っています。運動内部の分裂が起こり暴力沙汰となれば、すかさず介入すればよいわけです。彼らの「富」が危険にさらされるような状態にでもなれば、剥き出しの権力発動となるでしょう。
 実際99パーセントと言っても、完全に貧困な者ばかりではないので、今後意見の集約はますます難しくなり、一部占拠せよの拠点では「よからぬ人々」も出て来ているようです。11月16日の朝日には、夜中に太鼓を叩いたり、大麻を吸引したりする者が現れ、付近の住民の支持を失いつつある事が報じられていました。
マクレーン末子氏は「前途は容易ではない」と言っています。
 そうした事を考えながら浮かんで来た聖書箇所は有名なバベルの塔です。
 「さて、全地は一つのことば、一つの話しことばであった…そのうちに彼らは言うようになった。『さあ、われわれは町を建て、頂が天に届く塔を建て、名をあげよう。われわれが全地に散らされるといけないから…主は仰せになった。『彼らがみな、一つの民、一つのことばで、このようなことをし始めたのなら、今や彼らがしようと思うことで、とどめられることはない。さあ、降りて行って、そこでの彼らのことばを混乱させ、彼らが互いにことばが通じないようにしよう。こうして主は人々を、そこから地の全面に散らされたので、彼らはその町を建てるのをやめた。それゆえ、その町の名はバベルと呼ばれた。主が全地のことばをそこで混乱させたから、すなわち、主が人々をそこから地の全面に散らしたからである」(創世11:1,4,6,7−9)。
 当時人々の言語は一つでした。そこで神を差し置き高慢になった彼らは、天にまで届く塔を建て、団結しようと考えました。しかし神はそれを黙認せず、建設中の人々の言語を混乱させ、意思疎通を不可能にしました。結果はこの塔建設の瓦解となり、人々は地の全面に散らされたのでした。そこで中途半端に終わったこの塔の名は、その動詞にちなみ「バベル」と名付けられたのです。
 占拠せよの運動も時至って崩壊し、歴史に名を留めるだけのものとなってしまうのでしょうか。