ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

蛇紋岩海山について

 図書館で藤岡換太郎著『山はどうしてできるのか』という本を借りて読みました。
 iireiさんとコメントのやり取りをした事がありますが、昔も今も高校の理科では地学を選択する学生が多くいません。ところが地学で学ぶ事は、私たちの日常生活でも結構知っておくべき項目が多く、これからは物理や化学ばかりでなく、積極的に選択して欲しいと思います。私たちの住んでいる地球の事、火山や地震の事、地球温暖化など気象の事、身近な海の事、太陽、月、星、銀河などの事等々、知ると便利で面白い事が一杯です。
 ではなぜ地学が敬遠されるのかという事を考えますと、決して平易に書かれていない教科書が多いからではないかと思います。それにそこに出て来る数式にしても、数学ほど丁寧な教え方をしていません。それがもう一歩進んで大学クラスの教科書となると、微分偏微分積分などの高度な方程式の羅列で、よほど数学が出来る人でないとちょっと手ごわいのではないかと思います。かつて私は内容を見ないで、アマゾンから『地球力学』という英文の本を購入した事がありますが、説明にはいたるところ数式が伴い、ほとんど理解出来ませんでした。
 そうした事に危機感を抱いている地質学者はわりに多くいるのではないかと思います。今度図書館で借りて読んだブルーバックスの上記最新刊を書いた藤岡換太郎氏(独立行政法人海洋開発機構研究員)も、そうしたうちの一人だと思います。それで私たち日本に住む者にとって極めて身近で親しみのある山について、相当わかりやすく私たちに教えてくれます。地学も日進月歩なので、ここにも新しい知見が含まれていました。
 それは「山はこうしてできる」の項で、花崗岩、蛇紋岩、石灰岩の山についての記述です。そのうち花崗岩石灰岩の山、それに海洋地殻を形作る玄武岩の山は良く知られており、教科書にも載っていますが、「蛇紋岩」の山は初めて学びました。

 蛇紋岩・蛇紋岩体は日本でも知られていますが、蛇紋岩海山というのは初めてです。それはどこに存在するのでしょうか。海の中です。陸地から見えません。

 マリアナ海溝には海の山が多くある事が知られており、なぜその周辺にあるのか謎でした。ハワイ大学の研究チームは、調査船から鉄製のバケツを下ろし、そうした山の石を引き上げ調べて見ました。するとそれは何と蛇紋岩だったのです(蛇のような模様が走っています)。蛇紋岩は地球のマントルを作っているかんらん岩が熱水で変質した時出来るとあります(かんらん岩の緑色に比べるとやや鈍い色です)。マリアナ海溝ではその上部マントルのかんらん岩が変質して出来た蛇紋岩が上昇して、海底に流れ出し、それが積もり積もって山になったというわけです。それはマリアナ海溝に沿って、東京から広島くらいまでの距離でたくさん並んでいるそうです。
 そうした私たちの目で見えないものの画像が鮮明に見られるようになったのは、ごく最近の技術の進歩によるのでしょう。ですからこの本では、東日本大震災を引き起こした日本海溝伊豆・小笠原海溝、そしてこのマリアナ海溝との南にある最深のチャレンジャー海淵まで、そうした画像がふんだんにあって、まさに日本列島はそうした海溝の陸側にかろうじて存在している事が分かります。かつて小田原地球博物館で神縄・国府津−松田断層が国府津の海深くまで落ち込んでいるのを、模型で見る機会がありましたが、それも迫力ありました。
 翻って聖書地やそれに関連する山はどうでしょうか?創造のはじめに山は存在したのでしょうか?かぎはノアの洪水にあります。
 「水は、いよいよ地の上に増し加わり、天の下にあるどの高い山々も、すべておおわれた」(創世7:19)。
 これがが初出であるようです。そしてノアの箱舟はアララテの山に留まったとありますから、山は存在していたのでしょう。ただそれを構成する岩石については、洪水で破壊されたりして定かではありません。その後堆積岩が積もって、今日の多様な地形を生み出しました(グランド・キャニオンのような)。
 またその激変後のイスラエルの地はアフリカから延びる大地溝帯上に存在しますから、地震・火山活動は活発だったでしょう。そうした記述が聖書では多く出て来ます。モーセ十戒でおなじみのシナイ山花崗岩で出来ているそうですが、ノアの洪水後そうした深成岩が、聖書地でも生じたのだろうと思います。このあたりもっと勉強してみたいと考えています。