ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

裕福な人々は困難の時に他人に手を差し伸べる事はありそうもない

 2012年8月30日のサイエンスデイリサイト(http://www.sciencedaily.com/releases/2012/08/120831104201.htm)に、上記の題で論文の紹介がありました。
 発表したのは米国カリフォルニア大学バークレー校の博士課程を修了し研究している心理学者ポール・ピフ氏らです。
 ピフ氏によると「先行き不安な時代、劇的な二極分化が見られる」そうです。
 景気後退、政治的不安定、地震、ハリケーンといった自然の、あるいは人為的な災害の中で、社会・経済的な背景の異なる人々がどう反応するのかという問題意識で、取組みがされました。

 それは他人との関わりで富裕な人と貧乏な人の間で顕著に見られました。即ち富裕な人は富にしがみつき、富を獲得する事に集中し、貧乏な人は友人たちや愛する人たちとの時間を過ごす事が多くなるというものだそうです。特に富裕な人は自国経済がうまくいっていないと、海外に出てまでも高収入の仕事を探し、自己の属する共同体との絆まで断ってしまうのです。
 その立証の為に5つの実験が行われました。
 第一の実験は76人の男女が対象で、18〜66歳までの人です。オンラインで経済的上昇と下降の軌跡を示す視覚的なグラフを見てもらいました。今後の人生で直面するかもしれない状況を示す図です。すると富裕な人々は金融不安を見越して(手を打とうと)しましたが、貧乏な人々は混沌とした状況対処で地域共同体に向かう傾向が強い事が分かりました。
 第二の実験では72人の大学生に、自己の教育経験で影響を及ぼしそうな、前向きまたは後ろ向きな諸要素を書いてもらいました。クラス参加の取り消し、授業料の値上げ、学業不振などについてです。すると勿論貧乏な学生は混沌とした状態を心配しますが、富裕なクラスの人々とは異なり、支援を得ようと自分の属する共同体に向かうと言いました。
 第三の実験では、77人の学生にPC制御の仕事をやり通してもらいました。それは自分の環境が予測不能で怖い事を周知させた上で、5分間共同体建設の仕事に加わってもらいました。仲間のグループとの友情を発展させられるかどうかが問われました。するとそういう好機で仕事に飛び付くのは、やはり貧乏人の学生たちでした。
 第四の実験では、135人の学生たちに、似たような言葉を解読して文章にしてもらい、「お金こそ実際頼れる唯一のものだ」とか「金儲けの為にならない労働時間は、時間の無駄だ」とかいった文にどれほど賛同するか、報告してもらいました。当然富裕な学生は、そうした文には強く賛成しました。
 第五の実験では、116人の学生たちは、雇用主が高い給与を伴う新しい仕事を提供し、それには勤務地の移動があるので、現在の家族・友人・同僚たちとのネットワークが失われるかもしれない、といった仮定のシナリオを出されました。それに対して富裕な学生たちは絆を断っても、仕事を取り、貧乏人の学生は支援のネットワークに近いところに留まる事を選択しました。
 結果として経済的不安や政治の不安定さの中にあって、持てる者たちとそうでない者たちの間の意見の不一致はますます拡大するだろうと、ピフ研究員は言っています。
 聖書でもこうした富裕な人々と貧乏な人々の行動の対比が取り上げられています。
 「へりくだって貧しい者とともにいるのは、高ぶる者とともにいて、分捕り物を分けるのにまさる」(箴言16:19)。
 「世の富を持ちながら、兄弟が困っているのを見ても、あわれみの心を閉ざすような者に、どうして神の愛がとどまっているでしょう」(ヨハネ第一3:17)。
 確かに金持ちがその富を貧乏人の為にしたたらせる事は少なく、貧乏人は地域共同体に人的資源を投入する傾向があるのは、経験的にも分かります。2005年のハリケーンカトリーナが襲った時、白人はいち早く逃げ、ブッシュは夏休みを楽しみ、貧困な黒人層が特に被害を受けたのは、よく知られた事実です。