ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

脳の中の銅

 「主が遠く離れた国に旗を揚げ、地の果てから来るように合図されると、見よ、それは急いで、すみやかに来る」(イザヤ5:26)。

 原子番号29の遷移金属元素である銅は、世界においては鉄、アルミに次いで消費される金属だそうで、その製品は私たちの身近に存在します。特に合金としての銅は、1円硬貨を除くすべての硬貨に含まれ、私たちは毎日それを使っています。また台所の食器や電気器具の配線など、家の中で多く使われているのが分かります。しかし人体でも必須の元素である事はあまり知られていません。それは赤血球の中に含まれるヘモグロビンを合成するのに不可欠です。しかし体内に多く蓄積されると、脳に損傷を与えるものでもあります。
 2013年5月27日のフィズオルグサイトでは、「脳の中の銅」という題で新たな研究成果が紹介されていました。
 カリフォルニア大学バークレー校のクリストファー・チャンとその研究グループによるものです。彼らは「蛍光プローブ」(特定の分子と反応すると分子構造が変化して、強い蛍光を発したり、蛍光の色調が変化したりする、機能性分子の総称。がん細胞のみを選択的に発光させたり、生体分子の状態や機能を生きている状態で可視化したりすることが可能となる=コトバンクより)を用い、シンクロトロン放射光(赤外放射光)を利用したX線蛍光分析を行いました。

 チャン氏らは銅センサー3(CS3)という小分子の蛍光プローブを開発し、シンクロトロン放射光を用いて蛍光X線分析装置で、生きた細胞における変化しやすい銅貯蔵とその動きを撮像する事に成功しました。

 それにより神経細胞は貯蔵されている銅を活性化させる事と、そうした銅の動きがカルシウム信号伝達に依存している事が分かりました。動く銅と主要な細胞信号伝達経路とのつながりが初めて明らかにされました。チャン氏は「神経活動が銅の動作をもたらし、神経細胞におけるカルシウムと銅の混信モデルを作り出す事が出来るようになった」と言っています。
 それで脳内での銅酸化を妨げると、パーキンソン病(銅との関わりが研究されています)、メンケス病(銅欠乏により重篤な中枢神経障害、結合織障害をきたす)、ウイルソン病を含むいくつかの神経変性病に繋がってしまう事も分かって来ました。
 次に銅センサー3はさらにミトコンドリア銅センサー1(Mit-CS1)へと受け継がれました。そこで分かった事は、ミトコンドリアが銅の大切な貯蔵庫となっている事です。ごく最近ではチャン氏らは銅センサー790(CS790)というものを用いて、銅の過不足を追求し、ウイルソン病(体内に銅が蓄積することにより、脳・肝臓・腎臓・眼などが冒される難病)の治療の手掛かりを探っています。人体にとって銅は多くても少なくても、疾病をもたらすものですね。
 銅については6月13日に書いたばかりですが、これからも多様な働きが見つかると思います。