ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

建築冒険家の坂口恭平氏の『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』

 「神が造られた物はみな良い物で、感謝して受けるとき、捨てるべき物は何一つありません」(テモテ第一4:4)。
 坂口氏の事は以前のブログでも触れました。まだ氏の著作を読んだ事がなかったので、題に記した本を図書館で借りて読みました。非常に面白かったです。
 坂口氏は早大建築科に在学中、路上生活者を詳しく調べ、そこから彼らの生き方に魅力を感じてのめり込んだ人です。
 私たちはこの厳しい経済状況下いつでも生活が破たんし、路上生活者になる可能性があります。
 その時一番心配なのは、無職・無一文になった時、都会のど真ん中で「お金や仕事がないと生きていけない」という恐怖心にも似た思い煩いがあるからでしょう。

 しかし坂口氏に言わせると、全く心配無用、これから自分が全て指南しますという事で、以下にそのノウハウを示してくれます。これが相当説得力があるのです。
 まず無職・無一文になった時必須のものは何でしょうか?それは「衣食住」です。そのうち最も大切なのが衣です。そこで採集出来るのが<都市の幸>=「ゴミ」です。燃えるゴミの日に街を歩けば、いくらでも見つかります。特に衣服だけで処分するよう決められた地域は、デパートのバーゲン売場のようで、各自が自分の趣味に合ったお気に入りの衣服をただで入手出来ます。靴も燃えるゴミの日に確保出来ますし、付近の教会でも分けてくれます。
 次は食です。仲間の路上生活者から豊かな情報を得るのがまず第一です。東京都台東区では「炊き出し」を行っています。ここで飢えて死ぬかも知れないと思っていた人は、完全に満たされます。しかしその人は満たされるに従い、もはやそれに頼らず、自力で狩猟採集生活を始めるようになるそうです。偉い!
 酒は浅草のとある酒店。賞味期限切れの酒を自分のところの自動販売機で、60円で手に入ります。そういう場所を研ぎ澄まされた高い解像度の視点で探し出す事です。「タバコ」は健康の為お勧め出来ませんが、これもパチンコ屋でただで新品のものが手に入ります。
 さて衣食で一息ついた時利用したいのがシャワー。これも簡易宿泊施設で泊まらない限り、無料で利用出来ます。
 次は住の確保。言わずと知れた段ボールハウスです。4枚をつなぎ合わせ、少し重ねて組み立てれば、材料費ゼロ円で、意外と汗も出る断熱の住まいが完成します。枕は捨ててある雑誌でOKです。
 これで最低限の衣食住生活が出来るようになりました。「最高の欠如」が「最高の至福」に変わります。安心と余裕、では次はどうでしょう?その生活を楽しむ工夫を重ねて行く事です。それにはまず同じ仲間を探すのです。彼らは大きな情報源となり、しかも奪い合うものを所持していませんから、気の合う仲間が見つかれば、多様な知識や技術の集合体と化すのです。特定技術の達人でな師匠は人間味溢れた酋長とも言える人で、惜しみなく情報を提供出来ますから、いわばIT長者のような存在です。
 食の向上の為、賞味期限の切れた弁当を一括処分するコンビニがあります。新宿の居酒屋の廃棄食材は相当大物が見つかります。それらは余って売る事だって出来ます。川崎の路上生活者の集まりでは麻雀も出来ます。
 もし「生業」が見つかれば、家賃も光熱費もゼロなので、稼いだ分は全部自分の好きな事に使えます。
 かくて彼らは都市で「永遠に尽きることのない莫大な口座残高を持っている感覚」で生きているのです。
 生業にはアルミ缶拾い、路上で調達した道具で解体して得られる銅や真鍮も稼ぐ事が出来ます。ほどほどのマンションの不燃ゴミからは貴金属も得られます。OLや大学生は流行を追うので、飽きたら高級貴金属もすぐ捨てるからです。パソコン、テレビ、洗濯機などの電化製品もねらい目でしょう。12ボルトのバッテリーが入手出来れば、自分で楽しむ事も出来ます。
 最後は坂口氏も学び、実践しているゼロ円ハウスの制作です。それを多摩川河川敷に作るのです。描かれているイラストには、もう工夫一杯で、見ていて楽しくなります。そこで住んで風邪一つひかない人が結構いますし、たとえ病気になっても、役所の福祉課に訴えれば何とかなります。
 ゆえに「都市型狩猟採集生活は、人間の生きる意欲を無限大に引き出してくれ」ます。この本から私も生きる勇気を頂きました。勿論神が最終的に面倒を見て下さいますが。