ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

依存症消費社会

 「わが子よ。これ以外のことにも注意せよ。多くの本を作ることには、限りがない。多くのものに熱中すると、からだが疲れる」(伝道者の書12:12)。
 図書館で和田秀樹著『「依存症」社会』を借りて読みました。きっかけはDANGo3兄弟さんのブログでの紹介からです(http://d.hatena.ne.jp/dango33/20130807/1375887056)。予約から3か月後でした。依存症の本質を突いた書評で、私も是非と勧められた一冊です。そこで私も書いてみたくなりました。
 既に和田氏の事は8月23日のブログで書きました。そのコメントで出会ったのがこの本です。

 1〜4章で依存症の様々な例と特徴的な事柄、5章でその治療法を述べていますが、そこを読むといかに治療が難しいか良く分かります。ですから治療より、危ないなと思ったら止めるという「予防」がいかに大切かという事になります。
 現在の日本の産業の一状況を和田氏は次のように述べています。
 「アルコール飲料産業、ゲーム産業、パチンコ・競馬等のギャンブル産業、さらにはインターネット関連産業、ゲーム産業、携帯電話産業と、いまや日本の主力産業は、『依存症』依存産業のオンパレードとといっても過言ではありません」。
 「依存症」を誘発するビジネスが増加していることは、単に依存症になる人間を増やしているだけではありません。日本の社会構造全体に大きな影響を与えています…日本は『依存症に依存する』社会システムになりつつあるといえます。日本の経済も社会も、依存症を量産することで成り立つ、『依存症消費社会』になろうとしています」。
 かつて英国はインドで栽培した阿片を中国に輸出し、それに依存する人々を大量に生み出しました。そして人々を不健康に陥れ、社会全体の風紀も退廃させました。結果的に当時の清王朝はこの依存症が一つの契機となって滅亡に向かいましたが、和田氏は日本の現状と未来は、この清王朝の滅亡と極めて良く似ている事を述べています。
 この各種依存症対策、外国では積極的で様々な対策と規制を敷いています。アルコールでは米国が厳しい規制をかけています。韓国ではパチンコ産業を撲滅させました。
 ところが日本はこうした依存症を生み出す産業に対する規制が極めてゆるく、テレビなどの媒体を通してモーレツな広告合戦をしています。依存症となりやすいものへと、人々を誘い、成功して多くの利益を生み出しています。パチンコなどは交通の利便の良い場所に立地し、人々を誘い込んでいます。その結果を和田氏は憂慮しています。「その陰で、どれほどの人が借金にまみれ、家庭崩壊を招き、会社を解雇され、人生を狂わされてきたのでしょうか」。
 なぜこうも依存症の人々が急増しているのかと言えば、上記の広告が主因です。和田氏は「日本人は非常に広告効果の高い民族」だと述べています。ですから「『依存症』依存経済から脱する最大のカギは、メディアの広告規制しかありません」と断言しています。しかも和田氏はさらに踏み込んで、そうした依存症を生み出す産業の製造物責任法に準じた、設計者・製作者の責任にも言及しています。その最たるものがゲーム制作会社とその開発者です。
 「優秀なクリエーターであればあるほど、ゲームファンに喜びを提供したいと思えば思うほど、人々に与える影響についても考慮しなければならないはずです」。
 全くその通りです。聖書には「わたしが悪者に、『悪者よ。あなたは必ず死ぬ』と言うとき、もし、あなたがその悪者にその道から離れるように語って警告しないなら、その悪者は自分の咎のために死ぬ。そしてわたしは彼の血の責任をあなたに問う」(エゼキエル33:8)とあります。
 任天堂などゲームの製作者たちよ、神はこう警告しています。今子どもたちの多くがゲーム依存症となり、勉強もせず、就労もせず、ニート化しつつあります。次代を担う彼らに将来への展望を与え、依存症を撲滅させなければ、日本は必ず滅びます。
 日本の存亡にかかわる問題だけに、お勧めの一冊です。