ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

東京新聞社説に出たトマ・ピケティという経済学者

 「正しい者は偽りのことばを憎む。悪者は悪臭を放ちながら恥ずべきふるまいをする」(箴言13:5)。
 2014年9月7日の東京新聞社説に「格差拡大は成長妨げる」という題の記事がありました。その中に今『二十一世紀の資本論』で話題のトマ・ピケティという経済学者が登場していました。私がその人の名と著作を知ったのは、SPYBOYさんのブログからです(http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20140630/1404075760)。
 東京新聞によれば、この本「七百ページに迫る大著」で、元のフランス語本から英訳したものだけで、アマゾンで見ると4,227円もします。多少でも翻訳を手がけた人なら分かると思いますが、邦訳には膨大な時間がかかり、ページも原著の3倍位になります。もう少し待つしかないでしょう。左画像はピケティ氏。

 そのピケティ氏ですが、ウイキペデイアによると、まだ43歳の若手経済学者です。両親は私たちが大学闘争をしていた頃のパリ五月革命(1968年)に参加しており、労働運動の闘士だったとあります。ですから彼もその血を引いています。長期的視点から見た経済的不平等の研究をしており、それが今度の『二十一世紀の資本論』で結実したと言えるでしょう。ですから東京新聞も「欧米や日本など二十カ国以上を対象に、過去二百年以上にわたる税務などの膨大なデータを十五年かけて調べ上げ」と記述しています。
 その主張は実はSPYBOYさんが既に十分取り上げていて、東京新聞はその模倣と言えるほどです。
 東京新聞アベノミクスが「経済成長」一点張りで、格差論議が低調である事を憂いています。そして「『経済成長率よりも資本収益率が常に上回っている』、つまり労働者が汗水たらして働いて得る賃金の上昇(国民所得の伸び)より、金持ちが不動産や金融資産から得る利益の増え方の方が高い。持つ人と、持たざる人の格差は拡大していくという受け入れがたいともいえる事実」を謳っています。教育問題(特に日本)を巡っては、「今の格差社会は努力や能力より出生がどこかで決まってしまう」のです。
 1月28日のニューヨークタイムズで、コロンビア大学教授トーマス・エドソール氏が、彼の説を詳述しています。題は『資本主義対民主主義』というものです。http://www.nytimes.com/2014/01/29/opinion/capitalism-vs-democracy.html?_r=0
 エドソール氏によると、「資本市場が完全であればあるほど、資本収益率は経済成長率と比べ高くなる。そして資本収益率が高くなればなるほど、格差もますます大きくなる」のです。それは下図から一目瞭然。NYTサイトの図借用。

 さらに「もし資本収益率が永久に経済成長率を上回ると、所得の機能的分配は資本に有利な変化を生じさせ、資本所得が労働所得よりさらに集中すると(全く議論の余地無い事実)、個人所得の分配も余計不平等になり、実際それが過去30年間に私たちの目撃して来た事だ」と、彼の文章を引用しています。
 そして最後に「この推移を止める唯一の方法は、富に対して世界的な累進税を課す事であり、そんな課税の無い国々への資産移動を、何よりも世界全体で阻止する事である。この政策における世界規模の税金は、富の集中を制限し、所得が資本に流れるのを抑制する」とあります。*これは納得ですが、実現出来るかどうか。これほど邦訳が待ち望まれる本も、近頃珍しいです。