ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

相馬中央病院の越智小枝医師が「おイネ賞」

 「右にも左にもそれてはならない。あなたの足を悪から遠ざけよ」(箴言4:27)
 2016年1月21日の福島民報に、相馬中央病院内か診療科長の越智小枝医師が、日本発の産科女医楠本イネにちなみ、女性医師らの活躍をたたえる「おイネ賞」で、日本医師会推薦の全国奨励賞という最高賞に選ばれた事が報じられていました。
画像はhttp://www.who.int/kobe_centre/mediacentre/announcement/forum_150220/ja/からお借りしました。
 この医師は既に私がブログで書いた(http://d.hatena.ne.jp/hatehei666/20160113/1452690912)小野俊一医師が鋭い批判をしている人です。
 小野医師のブログでは(http://onodekita.sblo.jp/article/167674674.html#more)、越智医師はジャーナリストである石井孝明氏と、アゴラ研究所長池田信夫氏と共に、動画で登場しています。
 ちなみに石井氏はネットの情報では「私は原発を活用すべきという意見だ。また2011年から原発事故問題で福島に健康被害はないと繰り返した」と述べています。
 池田氏は「原発の運転を停止すると電力不足がもっと深刻になるので、とりあえず既存の原発は動かしてエネルギー政策を考え直したほうがいい」という「現状維持派」だそうです。さらに著作『原発「危険神話」の崩壊』では「放射能健康被害は、従来の想定よりもはるかに小さかったのだ。だから30キロ圏内を避難させた政府の計画避難区域は過大であり、農産物などの出荷規制も不要だった。このような過剰規制によって11万人の人々が10ヶ月以上にわたって避難生活を余儀なくされ、農業に多大な被害が出て、その賠償で東電の経営が破綻することが懸念されている」とありました。
 その二人との対談で、越智医師はディベートする為に出席してはいません。二人ともうなずいて聞いています。
 越智医師は福島民報では3・11以後「相馬市の仮設住宅などで検診に当たるなど地域医療に尽くしている点が評価された」ため、今回の受賞になっています。
 越智医師の抱負としては「被災地では震災から時間がたっても医療へのニーズが高いと感じた。被災地で力になりたいと思った」、「相馬市は各方面からの支援を受けつつ、地域の力で災害から立ち直ってきた。こうしたことを発信する機会にしたい」、「地域住民のニーズに合った医療を提供できるよう、たくさん学びたい」という事です。
 しかし上記小野医師のブログを見ると、私の印象は異なります。
 「福島県の子供たちのスクリーニング受診率は100%ではありませんが15%よりはるかに高いので、スクリーニング効果は15倍から100倍の間くらいになることが予測されます。そう考えれば、スクリーニング効果だけで発症率が20-50倍にもなることは、あまり驚くべきことでもないのです」(http://www.gepr.org/ja/contents/20151109-03/gepr.pdf)。*ここでスクリーニングは「放射能測定」という意味です。
 ここにもありますが、PDFファイルを見ると、50倍は驚くべき数値ではないのに、なぜ研究者は反論しないのかという趣旨の事も書いています。
 実は福島の子どもの甲状腺癌発症率が最大50倍という事を統計学的に調べ、昨年医学雑誌「Epidemiology」に発表したのは岡山大学津田敏秀教授らのグループです。これは残念ながら英文ですが、PDFファイルで読む事が出来ます(Thyroid_Cancer_Detection_by_Ultrasound_Among.99115)。
 その論文の表2に患者数、オッズ比、発生率比の順で数字が並んでいますが、最後の発生率比(IRR)で、福島中通り地域中部(郡山市須賀川市二本松市田村市本宮市大玉村、鏡石町、天栄村、三春町、小野町)が50倍という事になり、南東部の最も汚染の少なかった地域で20倍ありました(*いわき地域は38倍)。
 そして津田教授は「原発事故から4年以内に、事故時点で18歳以下だった若者たちのうち、甲状腺癌が外的比較でほぼ30倍、しかも内的比較でのばらつきが観察された。この結果はスクリーニング効果では十分には説明し難い」(私の粗訳)と結論付けました。教授は、当然ヨウ素131による被ばくを考えていたでしょう。
 この論文については様々な批判がありますが、越智医師はスクリーニング効果によるものと、持論を変えていません。それを覆すデータが揃わないので、「福島のがん、甲状腺がんが増えていないかどうかは、まだ『わからない』というのが現状です。そのような中で、危険と主張する方もいる一方、安心・安全を繰り返す『専門家』『有識者』が多いことも確かです」と彼女は繰り返しています。そして科学には中立性はないので、「科学とは何のためにあるのか、ニュースの目的とは。福島に関心を持つ善意ある方々に、そのことを今一度考えていただきたいと切に願います」と述べています。
 私は中立性がないのなら、上記池田信夫氏のアゴラ研究所に出席した越智医師は、明らかに政府の見解に近いと言わざるを得ません。
 放射能によるのか、スクリーニングの拡大によるのか、それが今問われていると考えます。