負債の免除
「七年の終わりごとに、負債の免除をしなければならない。その免除のしかたは次のとおりである。貸し主はみな、その隣人に貸したものを免除する。その隣人やその兄弟から取り立ててはならない。【主】が免除を布告しておられる」(申命15:1−2)。
聖書の旧約の律法は、世のものと異なり、特異な点が幾つかある。上記申命15:1−2もそうで、七年(=安息年)の終わりに貸し主は借り主の負債を免除しなければならなかった。これは主なる神のご命令である。
負債がどれほど借り主を苦しめ、その為に貧しい者がそのままで留まらなければならなかったか、神は良くご存知だった。それで安息の年(=土地を休ませ、耕作や種まきなど一切を禁じた)の行事の一つとして、負債の免除があったのである。それにより「あなたのうちには貧しい者がなくなるであろう。あなたの神、【主】が相続地としてあなたに与えて所有させようとしておられる地で、【主】は、必ずあなたを祝福される」(申命15:4)という神の約束が成就する。
2018年9月12日の東京新聞に「生活苦7年半 東日本大震災3460世帯 災害援護資金 半数返せず」という見出しの記事があった。
あの東日本大震災で家や家財を失った人の数は膨大である。そのうち国(負担3分の2)、政令指定都市(負担3分の1。東北では仙台市のみ。いわき市は中核都市と呼ぶ)が対象者に貸し付けた災害援護資金(世帯当たり最大350万円)の総額は、約460億円(26,399世帯)であったそうだ。
そのうち約7,500世帯に返済期日が来た。9月時点で約7年半になったが、その結果はどうだったか?大方の予想通り、生活苦が増して、半数近くの3,460世帯が返済出来なくなったのだ。失職や高齢化が主な原因らしい。今のところ抜本的な解決策は無く、滞納金総額は4億に上るそうだが、今後さらに膨らむ。
生活が困窮しているのだ。個々の事情に鑑みて、もう少し返済期間を延ばすとか、思い切って免除にするとか出来ないのか?
聖書の神はこの七年という年を知っており、貧しい借り主の負債を免除させられた。これに倣って、被災地では思い切った免除の措置をとるべきではないのか?聖書を知らないこの国の貧しい政策に義憤を覚える。聖書に従ってこそ国や県に祝福があるのに。