ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

東京農工大、東京工大の福島進出

 エサウは言った。『彼の名がヤコブというのも、このためか。二度までも私を押しのけてしまって。私の長子の権利を奪い取り、今また、私の祝福を奪い取ってしまった。』また言った。『あなたは私のために祝福を残してはおかれなかったのですか。』」(創世27:36)。
 郡山市西田町は、私が除染で宿泊していた富久山町から阿武隈川を渡ってすぐ近くにある。そこにかつて根木屋小学校があった。明治時代に創設された。144年続いたそうだが、2018年3月31日廃校となった。西田地区の5校と1中学が統合され、この18年4月から郡山市立西田学園として新しくスタートした。
 この廃校になった小学校に目を付けたのは、福島・国際研究産業都市(いわゆるイノベーション・コースト)構想を推進しようとしている福島県、また郡山市だと思う。それで昨年郡山市東京農工大と連携協定を結んだ。
 既に私のブログでは「選択と集中」で、国立大学は運営費交付金を減らされ、競争的資金を得る為の競争を強いられている事を述べた。それが得られなければ大学はますます痩せ細る。
 農工大の現状は知らないが、廃校になった小学校を利用すれば、安価に研究拠点を確保出来る。そしてそこに複数の教授が研究室を設けるという。狙いは得意とする農林水産業の振興だろう。そして地元農家との協力、人材育成もある。
 だが農工大は優秀な人々が多い。私の高校からも何人か行ったが、なにしろ競争によって疲弊し切っている。この地道な研究に贅沢な資金は出ない。わが事で精一杯の彼ら教授は、福島の若い人々の教育に資する事が果たして出来るだろうか?
 同じような状況は東京工大についても言える。大学は浪江町と今年協定を結んだ。
 浪江町は3・11で全町避難し、解除後も臨時休業を強いられている。そのうちの一つ、浪江東中学校に目を付けた県と町は、東京工業大学科学技術創成研究院を、その近くの浪江町内に設ける事にした。そこを大学の研究拠点にする。
 浪江町の思惑としても、大学に研究・教育をしてもらい、復興の後押しになってくれればという事だろう。
 この浪江東中学は改修をして、敷地には新しく「なみえ創成小学校・なみえ創成中学校」が一体となってオープンした。さらに浪江にじいろこども園というのもその一角にあって、幼保連携型認定こども園という肩書きで開設された。
 それで東工大イノベーション・コースト構想として、この年には何をやるのだろうか?
 浪江町のホームページを見ると、(1)11月24日、25日の十日市祭でのセカンドスクールへの参加。(2)12月14日、なみえ創成小・中学校でのロボット教室の実施という予定が載っていた。
 でも東京工大だって超エリートの集まりである。古い話だがやはり私の高校から何人か行った。彼らの顔ぶれを見ると、およそ文系には縁がなく、理数に長けているメイトだった。とりわけ数学。なぜか人格的には偏りのある人たちばかりだった。
 今もそうだとは言わないが、科学技術創成研究院で研究している人々は、まだ子どもたちがほとんど戻っていない状況で、まともな教育が出来るだろうか?仮に競争的資金を多く得たとしても、その成果を上げなければならないプレッシャーがある。じっくり子どもを育てる余裕なんてないと推測する。
 この2つの似通った事例から見えて来るのは、やはり国や県が進めるイノベ構想なるものがうまく行きそうに見えない事である。ひねくれた見方をすると、大学による福島浜通りにおける安価な場所の乗っ取りに見える。
 ならばそれは災害便乗型資本主義の典型ではないか。冒頭の聖句は弟ヤコブが兄エサウを押し退けて、その長子の権利を奪ってしまった事を示す。まさに乗っ取りだ(最後にはこの二人は和解するが)。
 今でも浜通りの多数の人々が苦しんでいる。その救済こそ最優先するべきではないか?そうでないと、大学からの誘いに乗って来る若者の数は限られてしまう。志はあっても貧している人たちはなおさらだ。