ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

離散(=デイアスポラ)ユダヤ人と最近の3グループの遺伝的調査結果

 通常ユダヤ人の離散は、紀元前722年のアッシリヤ帝国攻撃による北イスラエル王国の崩壊と、紀元前597〜581年のバビロン帝国攻撃による南ユダ王国の崩壊で、北イスラエルの10部族がアッシリアへ、南ユダの2部族がバビロンへ連れ去られた事がその始まりです。聖書ではその後南ユダの少数の人々がエルサレムに帰還した他、バビロンに留まった人々により離散ユダヤ人の共同体が形成されました。ですから狭義ではいわゆるバビロン捕囚以後、パレスチナ以外の地に住んだユダヤ人の共同体の事を指してディアスポラと言っています。北イスラエルの10部族についてはいまだ謎が多く、多くの説が出ています。
 彼らはその後エジプト、小アジア、ローマ等広く散って行き、現在米国を始め世界中に住んでいます。
 最近研究者たちはこの世界中に散っているユダヤ人たちについての遺伝的調査を行いました。対象は237人のユダヤ人と、比較対照の為非ユダヤ人と思われるおよそ2,800人の人々です。
 方法として遺伝子DNAの一塩基多型、長いDNAの断片、DNAのコピー数変異というものが用いられました。
 研究者たちはニューヨーク大学のハリー・オストラーの率いるチームです。
 従来ユダヤ人と言いますと、アシュケナージユダヤ人(中央ヨーロッパ系で、米国ユダヤ人の90パーセント、イスラエルユダヤ人の50パーセント近くを占める)と、セファルディ系ユダヤ人(=スペイン・ポルトガル北アフリカユダヤ人)の2つに分類されていましたが、今回の調査では新たに中東系ユダヤ人も加わり、3つのグループでの調査となりました。
 その結果はアシュケナージ系、セファルディ系、中東系ユダヤ人の全てが、実際に遺伝的つながりを持っている事が分かりました。
 また世界中で最大のグループと見られていたアシュケナージユダヤ人は、中央ヨーロッパよりむしろセファルディ系、中東系と関連性が深いという事も分かりました。
 研究者たちは彼らの祖先がおよそ2千年前に遡ると推定しています。それはイエス・キリストが地上に来られた頃です。キリストはユダヤ人の王であり、その系譜はマタイ伝ではアブラハム、ルカ伝ではアダムまで遡ります。しかし遺伝学的にはアブラハムまで遡らせるのは無理です。ネアンデルタール人のDNA解析は進められていますが、世界中で良好な化石標本が見つかる事はまずなく、あってもそこから劣化していないDNAを取り出すのはほぼ不可能だからです。さらにアブラハム以前、特にノアの洪水以前はあり得ません。ノアの家族8人を除き、当時の全人類が死滅したからです。
 今回の調査研究は聖書の内容と離れたものではありません。むしろ世界中に散ったユダヤ人の同一性を傍証するものでしょう。
http://www.answersingenesis.org/articles/2010/06/05/news-to-note-06052010
http://www.nature.com/news/2010/100603/full/news.2010.277.html
http://news.sciencemag.org/sciencenow/2010/06/tracing-the-roots-of-jewishness.html