ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

京大霊長類研究所=進化論の牙城

 『人間とは何か チンパンジー研究から見えてきたこと』(松沢哲郎編)を読みました。2010年6月に岩波書店から出されたものです。
 これは主として京都大学霊長類研究所設立40周年を記念したもので、その所長が松沢哲郎氏です。
 内容はと言えば、そのスタッフの面々がチンパンジー研究成果の様々な側面を、写真と文章で紹介したものです。
 しかしこの本の題にあるように、それはチンパンジー研究を通して、チンプ→人間への進化を解明しようとするものです。霊長類研究所はこの方面で一歩先を進んでいるので、まさに「進化論の牙城」と言えるでしょう。
 松沢氏は冒頭の箇所において、「チンパンジーはちんぱんじん」と題し分類学から入っています。そこで「人間とそれ以外の動物に何か本質的な違いがあるわけではない。現在、この地球上にある生命は、その誕生から同じ時間を生き抜いてきた、進化の同胞である。いまこそ人間中心の世界観から訣別するときだろう」と言っています。また「ヒトゲノムの解読が2003年に完了した。チンパンジーゲノムの解読が2005年に完了した。その結果、人間とチンパンジーの全ゲノムの塩基配列の違いは約1.23%だということがわかった。人間は98.77%チンパンジーだともいえる」と言っています。これは事実でしょうか。
 またチンパンジーとの違いから、「あおむけの姿勢が人間を進化させた」などといった「チン説」を出しています。
 そしてその80講目でも「人間もまたサルである」と題して、「人間とチンパンジーで、見かけは違っても、『尻尾のないサル』としての本質はきわめてよく似ている。98.8%までDNAの塩基配列は同じだ」と、最初の主張を繰り返しています。
 2003年のヒトゲノム解読から7年経過しました。その研究は急速に進み、松沢氏は2010年のネアンデルタール人DNAの事にも触れていますから、その間の研究変化に気付いていないわけはないでしょう。しかし人間はおよそ98%チンパンジーだという偏見(バイアス)は一貫しています。
 しかし米国創造研究所(ICR)のジェフリー・トムキンズ博士は、それに真っ向から反論しています(http://www.icr.org/article/human-chimp-similarities-common-ancestry/)。
 素人はDNA分析の詳細を調べられる状況にないので、そのデータは問題にされないままであり、松沢氏のような影響力ある研究者たちの言い分、偏見がそのままストレートに素人の頭の中に刷込まれているというのです。
 そこで博士は幾つかの例を挙げて、この人間イコール98%チンパンジー説を反駁しています。
 まずチンパンジーの全ゲノムですが、2005年に完了したと言えども、実際にはヒトゲノム解読に比べ、遥かに厳密さを欠いている粗雑なものだという事を博士は強調しています。ですからそのゲノムサイズはヒトゲノムよりも10〜12%も大きくなっています。そういう事実は実際知り得る立場の研究者からでないと、正しい情報として流れて来ないでしょう。
 また98%の類似性という事は、2005年までの時点で、研究者たちが蛋白質をコードする遺伝子(全ゲノム30億対のうち僅か2〜3万)のみを用いて比較し、しかも高度に類似性ある領域のみを選択し、類似性のない領域は捨て去るという手法で生まれたものです。ここに偏見がかかり、結果的に誤解を生じさせています。
 しかしその後の研究では、遺伝子の塩基配列中にエキソン(=蛋白質をコードする配列)とイントロン(コードしない配列)が存在する事が分かり、後者のほうが前者よりかなり多くなっていますが、研究者たちは比較分析でこのイントロン部分を省いてしまい、エキソン部分のうちの類似性ある領域のみに焦点をあわせています。
 さらに全ゲノム中、イントロンのように蛋白質をコードしない領域は、以前「がらくたDNA」と呼ばれていて、30億塩基対のほとんど(95〜97%)を占めており、それを含めたチンプと人間の比較では、配列の相違はまさに決定的になる事が明らかです。
 しかもこのコードしない領域にこそ、生物間の特徴の違いを決定付ける遺伝子制御因子が数多く存在し、脳の機能や言語などの特徴の差を司っています。
 最後にかぎとなるたくさんの染色体(男性のY染色体を含む)中に、極めて大きな相違が存在する点も、博士は指摘しています。(染色体数は人間は23対、チンプは24対です)。
 こうした正しい情報が得られると、人間とチンパンジーの98%類似性という松沢氏の主張がいかに間違いかが明確になります。ですが松沢氏は2005年までの研究成果でフリーズし、その後のコードしない領域の重要性に目をつぶり、自らを「進化させて」いません。であるからこそ京大霊長類研究所は、進化論推進の牙城であり、人間とチンプは別個に造られたという聖書の教えに反し、人間の尊厳性を貶めているイデオロギー信奉者たちの集まりとなっています。