ハテヘイ6の日記

ハテヘイは日常の出来事を聖書と関連付けて、それを伝えたいと願っています。

高次脳機能障害者となった女性の医者の与えてくれた勇気と貴重な情報と落胆した点

 山田規畝子著『壊れた脳生存する知』を読みました。9月26日に脳のブローカ野が壊れた人の場合を取り上げたばかりですが、この本は医者である山田氏が自分に生じた重篤な病を、多くの人々の協力を得ながら綴ったものです。
 山田氏は最初医学生だった時に、ウィリス動脈輪閉塞症という名の一過性脳虚血発作を起こし、その後3度にわたる脳出血を経験しました。特に3度目のは重篤で、彼女の義兄による手術結果では脳の広範囲がやられているのが分かり、義兄はもう駄目かと思ったそうです。たとえ生き永らえても植物人間になってしまうと真剣に考えたとの事です。結果的に彼女は生かされましたが、高次脳機能障害者となってしまいました。
 このすさまじい障害に直面した山田氏は、誰でも経験するように、最初は死ぬ事ばかり考えていました。しかし多くの友人たちの支えもあって、再び生きようと、リハビリに取り組み始めました。
 勿論脳の広範な損傷では、リハビリを続けたところで、そっくり元の通りに戻る事はありません。ですから彼女はその事によって生じた数々な失敗を、医者の目から正確に記しており、もし医者でなかったら書けなかったような貴重な情報を私たちに提供しています。理学療法士作業療法士、あるいはヘルパーといった介護に携わっている方々が読まれたら、相当参考になるはずです。特に最近とみに多い認知症の予防やリハビリの為にも、共通点があると彼女は言っています。
 そして彼女の前向きなプラス思考は、脳の正常に残された分野を活性化させ、注意集中させればここまで到達する事が出来るんだという希望と勇気を私たちに与えてくれます。
 けれども「世間」は相変わらずこうした障害者に対して冷たく、理解しようともしません。偏見や侮蔑を抱く人々が出て来ます。残念ながら医者や看護師にもそうした人々が少なからずいます。
 彼女は東京女子医大を卒業してから整形外科医になりましたが、その日々の中で国立医大の講師をしていた男性と見合い結婚します。彼女はその時ウィリス動脈輪閉塞症を起こした事を見合いの相手に伝えますが、その男性も糖尿病の家系で「お互い様でしょう」という事になり、結婚しました。30歳で妊娠出産したわけですが、この大病になってから夫は彼女ばかりでなく、子どもにもつらく当たるようになりました。結果は離婚となりました。極めて残念な事です。でも彼女はめげずに、立派に成長しへルパー役ともなっている子どもと共に、鎌田先生の主張する「がんばらない」生活を実践しています。
 私が残念だと言った事は聖書にあります。「それで、もはやふたりではなく、ひとりなのです。こういうわけで、人は、神が結び合わせたものを引き離してはなりません」(マタイ19:6)。これがイエス・キリストの教えられた結婚における「ご命令」です。もし去って行った夫がそうではなく、彼女を理解し優しく付き添う人だったなら、一家はもっと祝された生活を送る事が出来たはずです。